新生ローグ中隊 #1 |
年 代 | 出 来 事 | 場 面 | 参 考 |
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ふいに宇宙空間が消えて、シミュレーターのポッドがパカッとひらいた。キャノピーが持ちあがると、笑い声が聞こえてきた。コランは思わずヘルメットのブラスト・シールドをおろしかけた。三人の仲間に顔を見られるのが恥ずかしかった。 コラン“仕方がない、じたばたせず、潔く敗北を認めよう” コランは立ち上がってヘルメットを脱ぐと、首をふった。 | フォロア Folor |
小説 上 P.38-40 |
コラン「とにかく終わったよ」 トワイレックのナワラ・ヴェンが手をパチパチと叩いた |
ヴェン「そんなに謙遜するなよ、コラン」 コラン「え?」 トワイレックのかたわらに立つ金髪の女性が満面の笑顔を向けた。 |
リサティー「あなたは<リデンプション>シナリオに勝ったのよ」 コラン「なんだって?」 灰録色の肌をしたギャンドはうなずくと、シミュレーターの機首にヘルメットを置いた。 |
オーリル「きみは九機撃墜した。ジェイスはご機嫌ななめだろう」 コラン「ありがとう、オーリル、でもぼくだってやられた。きみたち三人を撃ち落としたアンティリーズ隊長に」 コラン・ホーンはシミュレーターから飛び降りた。トワイレックは肩をすくめた。 ヴェン「隊長は百戦錬磨の英雄だぜ、負けてもともとさ」 リサティー「それにしてはすこし手間取ったわね。本当に撃墜されたと思う?」 リサティーが首をふると、肩まである金色の髪が波打った。コランは顔をしかめた。 コラン「そういえばミッション終了のメッセージを目にしていない」 リサティー「あなたはシミュレーターで“戦死″を体験したことがないでしょう。やられたらすぐわかるようになっているのよ。直撃弾を受けたにせよ、コラン、あなたは撃墜されなかった。ちゃんと勝ち残ったのよ」 リサティーはほがらかな笑い声をあげた。コラン・ホーンは目をぱちくりさせると、口もとをゆるめた。 コラン「ブロー・ジェイスも片付けたし、ぼくは、<コロレヴ>を守りぬいたわけか」 茶色の髪に透きとおった青い目をした男が、オーリル・クリッグとナワラ・ヴェンを肩で押しのけるようにして近づいてきた。 |
タイコ・ソークー(Tycho Celchu)「よくやった。きみはずば抜けたパイロットだよ」 コラン「ありがとうございます」 タイコ「勝ったと思った瞬間、きみのミサイルがわたしのエンジンに命中した。みごとな腕前だ」 男はコランに手を差し出した。コランは男とためらいがちに握手をかわした。相手の黒いフライト・スーツには名札も階級章もついていなかったが、左袖のところにホス、エンドア、バクラで戦ったことを示すバトル・タブが縫いつけてあった。 コラン「あなたのTIEだってすごかった」 タイコ「ありがとう ミスター・ホーン。わたしはすこし腕がなまっているが、それでも充分に楽しませてもらった。このつぎは負けないぞ」 男はコランの手を放した。中尉の制服を身につけた女性が男の腕をぽんと叩いた。 フィラ中尉(Lieutenant Filla)「アクバー提督がお待ちかねです。一緒にいらしてください」 タイコ「諸君、よくやった。みごとな勝利だ、おめでとう」 TIEのパイロットは四人のXウイングパイロットにうなずいた。コラン・ホーンは遠ざかってゆく男のうしろ姿をじっと見送った。 |
コラン「てっきりアンティリーズ隊長だと思っていたのに。きみたち三人を撃墜したんだ、リーダーに引けを取らない凄腕だぜ」 ヴェン「そうだな」 ナワラ・ヴェンは頭部触手の先端をひくつかせた。リサティーはうなずいた。 リサティー「わたしのまわりをぐるぐると何度も旋回したのよ」 ギャンドは三本指でコランのシミュレーターをドラムのように叩いた。 オーリル「すくなくともきみは一騎打ちに持ち込んだ。オーリルは彼の仲間と戦っているときやられた。オーリルは遊離水素なみに敏捷だ。あの男は文句なしにすごい」 コラン「同感だよ。でもいったい何者だ?ルーク・スカイウォーカーじゃないことは確かだが、エンドアの生き残りだし、バクラにもローグ中隊の一員として参戦している」 コランは眉をひそめた。トワイレックは赤い目を光らせた。 ヴェン「エンドアのタブには中央に黒点が打ってあった、つまりデス・スター攻撃に加わって生き残ったメンバーだということだ」 リサティーはコラン・ホーンの首に右腕を巻きつけると、拳を丸めてコレリア人の顎をやさしく突きあげた。 リサティー「何者だっていいじゃない」 コラン「リース、三名の腕利きパイロットを撃ち落として、ぼくをきりきり舞いさせたやつだぜ。それなのに腕がなまったなんて!あれほど危険なパイロットはちょっといない。だからどうしても正体を知りたいんだ」 リサティー「たしかにすごいパイロットだけど、いちばん危険ってわけじゃないわ。今日いちばん手強かったのはあなたよ」 リサティーは左腕をナワラ・ヴェンの右腕に絡ませた。 リサティー「だからコラン、保安将校の目であのパイロットのことを見るのはやめなさい。ナワラ、あなたも弁護士意識は棄てるのよ。みんなパイロット、仲間でしょ」 リサティーはにっこり微笑んだ。 リサティー「ところで<リデンプション>シナリオの勝利者は、仲間の協力に感謝して夕食をおごる約束になっていたわね」 |
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小説 上 P.40-41 |
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