新たなる希望 #18 |
年 代 | 出 来 事 | 場 面 | 参 考 |
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サウンド:バックにインペリアル・スター・デストロイヤーのコントロール・デッキのざわめき。 サウンド:ブリッジの音が大きくなる。計器の音、状況報告を行う乗員の声。 艦長:(少し離れた場所で)ナビゲーター!デス・スターに到着する推定時間は? ナビゲーター:(離れた場所で)あと一五分です、艦長!現在、外側のディフェンス・ゾーンに入る許可を取っているところです。 艦長:続けるがいい。(間)ヴェイダー卿! サウンド:ヴェイダーの重い足音と呼吸器の音が近づいてくる。 ヴェイダー:何だ、艦長。 艦長:予定どおりです、ヴェイダー卿。 ヴェイダー:よろしい。 サウンド:ハッチが開き、トルーパーが一人、入ってくる。 隊長:ヴェイダー卿! ヴェイダー:どうした、隊長。 隊長:囚人を連行しました。通路におりますが、いかがいたしますか? ヴェイダー:ここに連れてこい。 隊長:(離れながら)承知しました。 隊長:囚人は前に進め! ヴェイダー:隊長、私の・・・客をそんな手荒く扱うな。 レイア:(近づく)客ですって?いいこと、言っておきますが− ヴェイダー:(遮り)隊長、ハッチのそばに戻るがいい。 隊長:承知しました。 ヴェイダー:今のところはそれだけだ、艦長。 艦長:おおせのままに、ヴェイダー卿。 レイア:(近づく)ヴェイダー、私の宇宙船を襲撃し、私を捕えるとは、いくらなんでも行き過ぎですよ。帝国元老院が− ヴェイダー:元老院などもはや恐れるに足りん。こうしている最中も、元老院に対する手が打たれているはずだ。それより、自分のことを心配するのだな、プリンセス・レイア。 レイア:こんな企みがうまくいくはずはないわ。あなたや、その同類は− ヴェイダー:(遮る)いくらわめいても無駄ですぞ、ユアハイネス。どうやら、すっかり取り乱し、メイン・ビューポートの外の目的地を見る余裕もなかったようですな。 レイア:何・・・デ、デス・スター! ヴェイダー:そのとおり。しかも、ほぼ完成し、まもなく稼働可能になる。あなたの反乱軍のスパイどもの推測より、はるかに完成に近い。あれを見せれば、ショックのあまり、デス・スターを知っていることを、うっかり暴露すると思ったが、そのとおりでしたな。 レイア:そ・・・それは帝国元老院で、漠然とした噂を耳にしただけのこと。こんな言葉は何の証明にもならないわ。それはわかっているはずよ、ヴェイダー! ヴェイダー:あなたはデス・スターを知っていた!そしてスパイが送ったデス・スターの技術的な設計データを傍受した。これが最後のチャンスですぞ。あの設計書をどうしたのか教えていただこう。あのバトル・ステーションに到着したら最後、はるかに手荒な直接的手段で聞きだすことになりますぞ。 レイア:そんなことをしてごらんなさい!ただではすみませんよ! ヴェイダー:そうかな?いいか、プリンセス。デス・スターをよく見るがいい。あれは人類の歴史上最大の兵器だ。惑星を一瞬にして粉々にするほどの威力を持つ、小さな衛星ほどもある要塞なのだ。 レイア:あれは・・・ねじれた心が生み出した、汚らわしい・・・汚らわしい創造物よ! ヴェイダー:あの巨大な円形の皿のようなもの、あれが超兵器だ。単なる宇宙艦隊など、赤子の手をひねるより簡単に滅ぼしてしまう。 レイア:あなたは狂っているわ!あなたも、皇帝も、帝国軍の将軍たちも・・・一人残らず狂ってしまったのよ! ヴェイダー:面白いことを言う。しかし、あれを見せたのは、正しい判断をしていただくため。デス・スターに心を奪われる必要はない。いかに優れた破壊力を持つとはいえ、所詮は人が造ったものだ。しかし、あれは帝国の力を誇示し、まもなくあなたの哀れな反乱同盟軍を押しつぶすことになる。 レイア:それほど自信があるなら、なぜ必死になってあの設計書を取り戻そうとするのです? ヴェイダー:どうやら協力する気はないようだな。よかろう。どういう目に遭おうと、自分が選んだことだ。言っておくが、こちらが知りたいことは、何としてもしゃべってもらうぞ。隊長! 隊長:(離れた場所で)はい、ヴェイダー卿! ヴェイダー:彼女を船室にお送りしろ。デス・スターに到着したら、向こうの監房区画に移せ。(レイアに)帝国に歯向かえばどうなるか、たっぷり味わうことになりますぞ、ユアハイネス。まもなく全銀河がそれを知ることになる。 音楽:挿入 サウンド:ブリッジの騒音が消えていく。 サウンド:バックで会議室に集まった参謀将校の低い話し声が大きくなる。稼働しはじめたデス・スターの音−空気循環機の音などが遠くで聞こえる。タッグが入ってくる。 タッグ将軍:(近づく)モッティ提督、一般幕僚の打ち合わせは、時間どおり行われるのですか? モッティ提督:タッグ将軍、グランドモフ・ターキンが戻りしだいな。彼は、ヴェイダー卿を迎えるためドッキング・ベイに行っているのだ。 タッグ:ヴェイダー?では、盗まれたデス・スターの設計書を取り戻したのですか。 モッティ:いや、まだだろう。だが、どうやら反乱軍のプリンセスを捕まえたらしい・・・プリンセス・レイア・オーガナだ。 タッグ:レイア・オーガナ?ヴェイダーは気でも狂ったのですか? モッティ:その可能性がないとは言わんが、私はそうは思わんね。さもなければ、皇帝が片腕として使うはずがない。 タッグ:いくらなんでも、これはやりすぎです!皇帝が押しつけてきたこのシスの暗黒卿は、われわれに破滅をもたらしかねません。デス・スターが完成するまでは、われわれは無防備なんだですぞ。 モッティ:ずいぶんと悲観的だな、タッグ。 タッグ:モッティ、きみは反乱同盟軍がどれほどの脅威か、まだわかっていないようだな。これまでより組織され、多くの戦艦を持ち、装備が立派になっただけではなく−彼らは取り憑かれた狂信家の集まりなのです! モッティ:きみの艦隊には危険な相手かもしれんが、このバトル・ステーションにかなうはずがない。 タッグ:このままでは、やつらは元老院の暗黙の支持を受け続けますぞ。元老院が− サウンド:シュッと音を立ててドアが開き、ヴェイダーとターキンが入ってきて、再び閉まる。ヴェイダーの呼吸器の音。 ターキン:(近づく)もはや帝国元老院の顔色をうかがう必要はない。たった今、皇帝が永久に元老院を解散したという知らせが入った。 サウンド:静かな驚きの声があがる。 ターキン:もちろんこの布告は、現在の緊急事態と反乱軍の武力行使に言及し、慎重に言葉を選んでいる。だが、これで旧共和国の最期の残滓が一掃されたわけだ。 タッグ:しかし、皇帝はどうやって権力を維持されるつもりです? ターキン:恐怖が帝国の支配下にある惑星を抑えるのだ。このバトル・ステーションに対する恐怖がな。 タッグ:既存の反乱勢力はどうするおつもりか?やつらがデス・スターの完全なデータを手に入れれば、万に一つ、弱点を発見し、そこを突いてくる可能性はある。デス・スターが破壊されれば、いや、深刻な損害を被っただけでも、われわれの主たる抑制力は失われてしまうのですぞ。 ヴェイダー:あのデータは、まもなくわれわれの手に戻る。 モッティ:それはどうでもいいことだ。反乱軍がこのバトル・ステーションにいかなる攻撃を仕掛けてこようが、恐れるには足らん。デス・スターは、宇宙最強の兵器なのだからな。 ヴェイダー:いかにテクノロジーの粋を集めた兵器といえども、あまり過信しないことだ。惑星をまるごと破壊する威力はたいしたものだが、フォースに比べれば、子供だましにすぎん。 モッティ:あなたの魔法でわれわれを怖がらせるのはやめてもらいたいですな、ヴェイダー卿。大昔の呪文を唱えれば、盗まれたデータ・テープが戻ってくるのですかな?あるいは反乱軍の秘密基地のありかがわかると− サウンド:モッティが突然息を詰まらせはじめる。 ヴェイダー:呼吸が苦しいようだな、モッティ?喉が収縮しているのかな?・・・目に見えない手が絞めているように? サウンド:他の将校たちは驚嘆し、互いにつぶやきあう。モッティは喉をごろごろいわせ、死にかけている。 ヴェイダー:きみの信頼の欠如は気に入らんな、モッティ。 ターキン:もういい、ヴェイダー!彼を放せ! ヴェイダー:おおせとあらば、総督。 サウンド:モッティは突然大きくあえいで息を吸い込み、テーブルに突っぷす。 ターキン:内輪もめはよせ。このステーションが運航可能になる頃には、ヴェイダー卿はプリンセス・レイアから反乱軍の基地がある場所を聞き出す。あと二交替もすればすべての作業が終了する。そうなれば、一気に反乱軍を壊滅させ、このステーションの威力を示すのだ。 音楽:挿入。 サウンド:シュッと大きな音がして、独房のドアが突然上がる。ヴェイダーの呼吸器の音と、レイアの呼吸。 ヴェイダー:この部屋はお気に召したかな、プリンセス・レイア? レイア:ヴェイダー、今すぐ私をこの独房から出し、公式の合法的手順を踏めるようはからいなさい! ヴェイダー:腹を立てるだけ無駄ですぞ、ユアハイネス。 サウンド:背後でビーッと大きな音がし、拷問ドロイドが独房に入ってきて、その音が大きくなる。 レイア:いったい・・・? ヴェイダー:このマシンのことか?これは尋問デバイスだ。他の名前で呼ぶ者もいるが。 レイア:拷問ドロイドね!これはあらゆる法律に違反して− ヴェイダー:(遮る)きさまにはもはや法律など適用されん!きさまは反乱軍の一味だ。それに寛大な処置を受ける最後のチャンスも拒否したのだからな。さあ、ユアハイネス、秘密基地のありかを教えてもらおうか。 サウンド:拷問ドロイドの発する音が大きくなる。 レイア:ヴェイダー!それを近づけないで・・・ ヴェイダー:注射針の付いた腕が見えるかな?あれを避けたいか?では吐くがいい・・・(レイアのそばに近づく)・・・反乱軍の基地はどこにある? レイア:(落ち着きを保とうとしながら、恐怖のあまりせわしなく呼吸し)何のことかわからないわ。 ヴェイダー:では仕方がない。 レイア:やめて! レイア:(ヴェイダーに揺すぶられ、震える声で)放して!や、やめて! ヴェイダー:動くな、この愚か者が!逃れる術はないのだ!すぐに・・・ サウンド:拷問ドロイドの電子音がさらに大きくなり、ついにかん高い金属音になる。注射針の腕がシュッと音を立てる。レイアが悲鳴をあげて仰向けに倒れ、うめきながら鈍い音を立てて独房の壁にもたれかかる。 レイア:こんなことは・・・こんな・・・ サウンド:レイアの呼吸が鎮まり、寝息のように規則正しくなる。 ヴェイダー:ユアハイネス、私の声が聞こえるかな? レイア:(悪夢にうなされるように)むむ?ああ、いや・・・ ヴェイダー:プリンセス・レイア・オーガナ。よく聞くのだ。私の声を聞け! レイア:こ、声を・・・ ヴェイダー:そうだ。私の声しか聞こえない。それを聞き・・・信じるのだ。私はあなたの友人だ。 レイア:な−友人?違うわ・・・ ヴェイダー:友人だ!私を信じ、秘密を打ち明けるがいい。誰にもしゃべりはしない。 レイア:むむ?安全? ヴェイダー:そうとも、安全だ。ここは安全だ。友人の中にいるのだからな。私を信じるがいい。あなたと同じ反乱軍の一員だ。 レイア:反乱軍? ヴェイダー:そうだ。あのテープをどうしたか、知っているのだろう? レイア:テープ・・・ ヴェイダー:デス・スターのテクニカル・プランだ。あれをどうした?あれはどこにある?反乱軍は知る必要があるのだ!われわれを助けてくれ、レイア! レイア:何? いえ・・・だめ。 ヴェイダー:あれが必要なのだ。テープはどうした?どこにある? レイア:だめよ! ヴェイダー:助けてくれ。これは義務だ。 レイア:ぎ・・・義務? ヴェイダー:そうとも!われわれ反乱同盟軍に対する義務だ。オルデランとあなたの父上に対する務めだ。あのテープがどこにあるか教えるのは義務だ! レイア:私の義務はしゃべらないこと・・・ ヴェイダー:帝国にはな。だが、われわれ反乱同盟軍には話してもらわねばならん。 レイア:何?わ、わからない。私を放っておいて、お願い・・・ ヴェイダー:あのデータがどこにあるか教えてくれれば、そうするとも。 レイア:それはできないわ! ヴェイダー:教えねばならん。あなたの義務だ。 レイア:私の・・・ ヴェイダー:義務だ。あのプランがどこにあるか教えてくれ。さもないと、たくさんの命が失われる。そうなったらあなたの責任だぞ。 レイア:違うわ! ヴェイダー:違うものか!あなたの責任だ!テープのありかを言わなければ、同志の死はすべてあなたの責任だ。 レイア:お願い・・・私を一人にして・・・ ヴェイダー:言うんだ!これは父上の命令だぞ! レイア:お父・・お父さまが? ヴェイダー:そうとも。父上が命じているのだ!その命令に従いたくはないか?父上を喜ばせたくはないか? レイア:ええ、ええ! ヴェイダー:では、あのプランがどうしたか教えてくれ。 レイア:でも・・・ ヴェイダー:父上が教えろと命じているのだ! レイア:お父さまは・・・命じない。(息を詰まらせ)命じないわ! ヴェイダー:私の忍耐にも限度があるぞ。あのプランをどうしたか言うのだ。 レイア:い、いやよ! ヴェイダー:(氷のような声で)いいか、激痛が・・・ものすごい痛みが襲ってくる。 レイア:お願い・・・ ヴェイダー:痛みだ!ものすごい苦痛だ!身体中がこらえきれないほど痛む。 レイア:(叫び声を上げ)この痛みを止めて! ヴェイダー:では、私が知りたいことを話せ! レイア:助けて! ヴェイダー:私が知りたいことを話せ。プランはどこにある? レイア:(息も絶えだえにあえぎながら)できない!できないわ! ヴェイダー:体が燃えているぞ。 レイア:(悲鳴のように)やめて! ヴェイダー:燃えている・・・末端神経がめらめら燃え、肉が引き裂かれている。 レイア:(悲鳴をあげ)消して!お願い、消して! ヴェイダー:デス・スター・プランがどこにあるか言えばな。 レイア:い、言うものですか! ヴェイダー:早くしろ!さもないと死ぬぞ!苦痛のあまり、呼吸もできん! レイア:お願い! ヴェイダー:きさまは苦痛にのたうちまわり、死にかけている。デス・スター・プランはどこだ?反乱軍の基地は? レイア:(泣きながら)言えないわ。 ヴェイダー:もうあと数秒しか残されていないぞ!今にも心臓が破裂しそうだ。息が苦しい! レイア:(囁くように)お・・・教えるものですか! サウンド:ヴェイダーの挙が独房の壁を砕き、それが反響する。 ヴェイダー:話さねばならん! サウンド:レイアは答えられない。彼女がもがく音。 ヴェイダー:よせ!おまえはもう死にかけてもいないし、痛みもない。頭を真っ白にしろ! レイア:何・・・いったい・・・ ヴェイダー:頭が真っ白になった。何も考えず、心配もない。 サウンド:レイアの呼吸が正常に戻る。 看守:ヴェイダー卿、どうかしましたか? ヴェイダー:何だと?いや、行くがいい・・・いや、待て! 看守:はい、ヴェイダー卿! ヴェイダー:この囚人を医務員に診せろ。深刻な損傷を受けていないか調べ、もう一度尋問できるように、必要な処置をしておけ。 看守:はい、ヴェイダー卿! サウンド:ヴェイダーが大股に立ち去る。 ヴェイダー:すぐに戻る。 サウンド:独房のドアが勢いよく閉まり、一瞬の静寂が訪れる。 サウンド:バックに会議室。 モッティ:それぞれの持ち場の技術将校が、最後のシフトで全作業を終了したという報告が入りました。 ターキン:最終的な点検が終わったのだな? モッティ:はい、閣下。デス・スターは100%準備完了です。 ターキン:主兵器を含めてか? モッティ:完全に稼働可能です。このバトル・ステーションはあなたが選んだどんな惑星でも破壊できます。敵が総力を傾けてかかってきても、われわれを止めることはできません。今や、あなたはその手に銀河のあらゆる生命を死に至らしめることができる力を握っているのです。 ターキン:すべての生命を死に至らしめる・・・ モッティ:究極の力です。それがあなたの手にあるのです。 ターキン:(そつなく)つまり、皇帝の手にある、ということだな。 モッティ:もちろんです、総督。そう言ったつもりでした。 サウンド:会議室のドアが開き、閉じて、ヴェイダーが入ってくる。 ターキン:ヴェイダー卿・・・ ヴェイダー:ターキン総督、このステーションが稼働可能になったと知らせを受けましたが。 ターキン:そうとも、ヴェイダー、そのとおりだ。 モッティ:総督の命令があれば、即刻出撃し・・・ ヴェイダー:皇帝のために働けるわけだな? モッティ:え、ええ、そのとおりです。帝国に仕えられます。 ヴェイダー:そして皇帝に。皇帝がデス・スターの建造をあなたに任せたのはよい選択でしたな、ターキン総督。これが他の男なら、その信頼を裏切るような愚かな野心を抱いたかもしれませんからな。そして多くの有能な男たちが、その野心のせいで、身を滅ぼしてきた・・・ ターキン:確かに。しかし、皇帝は私の忠誠をご存知だ。そうではないか、モッティ? モッティ:おおせのとおりです、ターキン総督。 ターキン:それで、ヴェイダー、プリンセスのほうはどうした? ヴェイダー:最初の拷問では落とせませんでした。あの女は驚くほど意志が強い。しかも、身体も精神も鍛え、さらに強めているようです。しかし、落ちるのは時間の問題です。 ターキン:あんな小娘がきみの拷問を拒みとおしただと?信じられん。 ヴェイダー:おそらく、盗んだプランが最後は反乱軍に渡ると思っているからでしょう。これはむなしい望みだが、それが支えになっているにちがいありませんな。 ターキン:しかし、歴戦のつわものや不屈の意志を持った男たちでさえ、きみの拷問には耐えられなかったのだぞ。 ヴェイダー:望みのあるうちは、囚人の意志を砕くのは難しいのです。 ターキン:きみの手口が甘すぎるのではないか、ヴェイダー。自白剤と婉曲なほのめかしはひとまず置き・・・昔から確実に囚人の口を割ってきた方法を用いてはどうだ。幻覚の苦痛からは自分を守れるかもしれんが、たかが小娘、実際の苦痛には耐えられまい。 ヴェイダー:それはどうですか。オルデランの王族で、しかも帝国元老院議員ですからな。多くの旧家の秘密や政府の極秘機密にアクセスできる立場にいる女です。伝統的な尋問には耐えるトレーニングを積んでいるはず。そうなると、かなり強度の拷問手段に訴えねばならず、うっかり殺してしまう恐れがあります。 ターキン:それがどうした?いずれ殺さねばならんのだ。 ヴェイダー:しかし、今のところは反乱軍の居所を聞き出す唯一の手掛かり。失う危険はおかせません。 ターキン:もう時間はあまりないぞ、ヴェイダー卿。デス・スターが完成したからには、即刻、反乱軍に対して強硬な手段をとらねばならん。皇帝はこのバトル・ステーションが、そして私が大いに働くことを望んでおられる。 ヴェイダー:基地の場所もわからず、やみくもに動いても時間の無駄でしょう。しかし、ご心配なく。あの女の意志は砕いてみせます。 ターキン:昔から思っていたのだが、きみの方法は仰々しいところがあるぞ、ヴェイダー。 ヴェイダー:しかし効果はあります。が、よい提案があれば、それに耳を傾けるのはやぶさかではありません。 ターキン:それでこそヴェイダーだ。プリンセス・レイアのような頑固な女には、関係のない第三者に脅威を与えるのがよかろう。 ヴェイダー:というと? ターキン:ちょうどデス・スターの威力を銀河に示す時だ。そのために一石二鳥の標的がある。モッティ提督! モッティ:はい、閣下! ターキン:ナビゲーターにオルデラン星系にコースをセットしろと伝えろ。 モッティ:喜んで、ターキン総督! ターキン:わかったか、ヴェイダー。この場合の第三者、われわれが脅す相手は、あの女の故郷の住民全部だ。 ヴェイダー:オルデランはコア・ワールドにある星系の一つ。皇帝にはかるべきでしょう。 ターキン:私の決めたことに文句をつけるな!タッグやモッティとはわけが違うのだぞ!皇帝はこのデス・スターを私に任せてくださったのだ。私が決定を下す!それに、これできみの必要な情報も、早く手に入る。 ヴェイダー:まさしく。 ターキン:同意してくれたか。帝国は広い。デス・スターのごとき巨大な兵器をもってしても、一度に一つの場所しか攻撃することはできん。したがって、このバトル・ステーションの主たる価値は、戦争抑止力にある。どんなわずかな挑発にもこれを使う用意があることを、全銀河に示さねばならん。 ヴェイダー:あなたの計画がその目的に適うものなら、充分正当な理由になります。 ターキン:帝国の安全が脅かされているのだ。たった一つの小さな惑星など、ささやかな代償にすぎん。 サウンド:デス・スターのエンジンの出力が上がり、それがしだいに消え、静寂が訪れる。 サウンド:オブザベーション・デッキの上下でステーションを操作する音。 モッティ:(わずかに離れた場所で)ターキン総督、オルデラン星系に入り、惑星オルデランの軌道につけました。 ターキン:爆発の位置から充分な距離を取ることを忘れるな。スーパー・レーザーの準備はできたのか? モッティ:主要点火装置は、ご命令がありしだい起動できます。ヴェイダー卿もほどなくあの囚人を連れてくるでしょう。 ターキン:よろしい。 サウンド:パワー・ドアが開き、レイアとヴェイダーと看守が入って閉まる。 ヴェイダー:お待ちかねの囚人が来たぞ! レイア:(近づく)ターキン総督!ヴェイダーの手綱を握っているのは、あなただったのね。ここに足を踏み入れた瞬間に、あなたの臭いに気がついたわ。 ターキン:最後まで威勢のいい方だ。処刑命令書にサインするのがどれほど辛かったか、あなたにはわかりますまい。 レイア:よくその責任を取るだけの勇気があったこと。 ターキン:プリンセス・レイア。処刑の前にこのバトル・ステーションの使い初めの儀式を、ここで見物されるがよい。これでもう皇帝に逆らう星系はなくなるでしょうな。 レイア:力で抑えこもうとしても、反旗を翻す星系は増えるだけです。 ターキン:デス・スターの威力を示せば、そんなことは起こるまい。最初の標的を選んだのは、ある意味ではあなただ。だからこのオブザベーション・デッキにお連れしたのです。(横を向き)モッティ提督、映像スクリーンを起動したまえ! モッティ:ただちに! サウンド:低いうなりが始まる。 ターキン:プリンセス。反乱軍の基地のありかを教えてもらえないので、今スクリーンに移っている藤紫色の惑星でデス・スターの威力を試すことにした・・・あなたの故郷、オルデランだ。 レイア:でも、オルデランは兵器すら持たない平和な惑星よ・・・そんなことは・・・ ターキン:別の標的のほうがよろしいか?軍事目標のほうが?では、その位置を吐くがいい! レイア:いいえ!私は・・・ ターキン:ヴェイダー!その女を抑えろ! サウンド:短いもみあい。 レイア:お願い・・・ ターキン:同じことばかり尋ねるのはうんざりだ。だから、これが最後だぞ・・・反乱軍の基地はどこにある? レイア:(囁くように)ダントゥインよ。ダントゥインにあるわ。 ターキン:どうだ、ヴェイダー?聞き分けがよくなったろう。(横を向き)モッティ提督、操作を続行せよ。準備ができしだい発射するがいい。 レイア:何ですって? ターキン:その情報はすんなり信用できん。それに辺境にあるダントゥインでは、効果的な見せしめにはならん。だが、心配はいりませんぞ・・・ダントゥインのお友だちも、ほどなくあの世に送ってやる。 サウンド:バックで主要兵器が出力を上げる音がする。 モッティ:ターキン総督、主要点火装置を起動します。 レイア:ターキン、お願い!少しでも人間らしい心があるなら・・・ モッティ:主砲を発射・・・します! サウンド:レイアの悲鳴は主砲の発射音にのみこまれる。 ヴェイダー:このステーションの主砲は、予想以上に威力がありますな、ターキン総督。 ターキン:確かに。 モッティ:ターキン総督、センサーが惑星オルデランの壊滅を確認しました。 レイア:お父さま!ああ、何と哀れなオルデラン・・・ ターキン:その女を監房区画に戻せ! レイア:ターキン、そのねじれた心にたとえわずかな人間性があったとしても、今の行為で死んでしまった。あなたは尊い生命自体の敵、宇宙の敵よ・・・あなたが仕える帝国は必ず滅びるでしょう。 ターキン:早く連れていけ! 音楽:挿入。 サウンド:ヴェイダーの重い足音と呼吸器の音。 ヴェイダー:(近づく)お呼びですか、ターキン総督? ターキン:ああ、ヴェイダー。まもなく偵察部隊から報告が入るはずだ。 ヴェイダー:そしてあなたに反乱軍を−どう言いますかな−“消滅”させるチャンスを与えてくれるというわけですな。 ターキン:そのとおり。わずか一日で、帝国に対する組織的抵抗をすべて効果的に抹消するわけだ。 ヴェイダー:確かに。 ターキン:例のプランの捜索はどうなった? ヴェイダー:プリンセスが二体のドロイドに託し、タトゥイーンに降ろしたことはまず確かです。少し前に、そこのモス・アイズリー宇宙港から、ストームトルーパーの一部隊と撃ち合い、制止を振り切って飛び立った宇宙船が一隻離床しました。だが、それはこちらの包囲網を通過し、追跡の手を逃れてハイパースペースに飛び込んでしまいました。二体のドロイドは、それに乗っていたようです。 ターキン:ストームトルーパーを出し抜き、宇宙艦隊の追跡を逃れた、だと?その宇宙船は誰のものだ? ヴェイダー:それはわかりません。認識証も登録証もでたらめ、驚くほど速く操縦も巧みだったところをみると、おそらくあのあたりで仕事をしている密輸業者の宇宙船でしょう。 ターキン:すると、反逆者どもは犯罪者と手をつないだのか。そしてきみはまたしても、あのプランを取り戻すことに失敗した。 ヴェイダー:われわれの敵には味方が多いですからな。だが、あなたの目論みどおりに反乱軍の基地が壊滅すれば、あのプランを急いで取り戻す必要もなくなる。違いますかな? ターキン:確かに、ダントゥインの基地を破壊すれば、この間題にはけりがつく。 サウンド:パワー・ドアが聞き、モッティが入ってきて閉まる。 モッティ:(近づきながら)ターキン総督!ヴェイダー卿! ターキン:それで、結果は、モッティ? モッティ:偵察艦はダントゥインに到着しました。反乱軍基地はあるにはありましたが、彼らの推定ではだいぶ前に引き払っています。現在、あの星系全体の捜索を行っております。 ターキン:レイア・オーガナめ!嘘をつきおった! ヴェイダー:あの女は意識のあるうちは、決して反乱軍を裏切らない、と申し上げたはずです。 ターキン:では、生かしておくだけ無駄だな。モッティ、プリンセス・レイア・オーガナを処刑しろ・・・今すぐだ! |
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