新たなる希望 #19 |
年 代 | 出 来 事 | 場 面 | 参 考 |
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サウンド:<ミレニアム・ファルコン>が轟音と共にハイパースペースにジャンプする。バックにエンジン音と船体全部のさまざまな計器の音が大きくなる。 ベン:(ため息をつきながら)今の衝撃はハイパースペースにジャンプしたせいだ。セーフティ・ベルトはもうはずしてもよかろう。 ルーク:よかった。あんなスリルのある操縦は初めてだ!帝国軍のクルーザーが雨のようにレーザーを浴びせてくる中を飛び抜けるなんて、ハンは最高のパイロットだ。もうだめかと思った。 サウンド:彼らはシート・ベルトをはずす。 ベン:ソロ船長の操縦はむしろ無鉄砲と言うべきだろうが、おかげでわれわれは助かった。帝国艦隊の包囲網を突破できるパイロットや宇宙船は、そうたくさんはない。どうりで密輸業者として名を馳せているわけだな。 3PO:ですが、私はあれで宇宙旅行が嫌いな理由を思い出しました!私もベルトをはずしてよろしゅうございますか? R2:電子音を発する。 3PO:ああ、それとR2があの隔壁から離れてもいいか、知りたがっております。 ルーク:いいとも、3PO。目的地まではまだ少しかかる。R2は元気かい? R2:口笛のような音を出す。 3PO:きわめて順調に機能しているそうです、ルーク様。 ルーク:それはよかった。この二日ばかり、さんざんな目に遭ってきたからね。 3PO:こう言っては何ですが、それは私たち全員に言えることでございます。 R2:同意するように鳴く。 ルーク:何て言ったんだい? 3PO:向こうに再充電ユニットがあるそうです。よろしければ、二人とも再充電したいと存じますが。 ベン:よい考えだな。いつまたそのチャンスがめぐってくるかわからんからな。 ルーク:いいとも、3PO。R2と一緒にそうするといい。 3PO:ありがとうございます! ルーク:この部屋を見てくれよ。積み荷のコンテナに、スペア・パーツ、カラッポの荷箱、それに何の役にも立たないがらくたがそこら中に散らばってる。まったく、何て船だ! ベン:これは実際に使われているフレイターなのだよ、ルーク。その仕事がどちらかというと怪しげなものだとしてもな。ソロのように自分の船を持っている男は、自分の宇宙船を好きな状態にしておけるし、好きなように生きられる。しかし、この<ミレニアム・ファルコン>の状態は実に素晴らしいぞ。しかも建造された時よりはるかにスピードが出る。ソロが“改造した”と自慢するだけのことはあるな。 ルーク:技術ステーションに何があったと思う、ベン?ホログラフ・ゲーム・ボードさ!ハンはゲームなんかやりそうな男には見えないけどな。 ベン:宇宙を旅する者たちは、時間をつぶすために実にさまざまな方法を考えるものだよ、ルーク。しかし、ソロがそういう時間のつぶし方をする男だとすると、単なる荒くれとは違う面を持っているのかもしれんな。 ルーク:でも、いったい誰とやるんだい?一人でかい? ベン:もちろん相棒のチューバッカとだろうな。 ルーク:あのでかい毛むくじゃらのウーキー?あいつがボード・ゲームをやれるって? ベン:技術と思考を必要とするゲームは、何も人間と機械に限られているわけではない。確かにチューバッカは巨体で獰猛に見えるが、外見で判断してはいかん。ウーキーはきわめて適応能力の高い種族で、優れた学習能力を持っているのだ。 ルーク:たぶんね。でもここには、ハンとチューバッカの他には乗員はいないのかな? ベン:それで充分間に合っているようだな・・・船長兼操縦士と相棒兼副操縦上。二人とも無愛想だが、きわめて有能なようだ。オルデランに送り届けてもらえれば、それでこちらは言うことはない。 ルーク:ああ。何しろ一万七千クレジットも払うんだから! ベン:料金は問題ではない。重要なのはR2をオルデランに送り届けることだ。あれのメモリー・バンクにある情報を、反乱軍の指導者の手に渡さねばならん。 ルーク:まあね。だけど、いったいどんな情報なのかな? ベン:私にはわからんな。しかしよほど緊急の事態でなければ、直接オルデランに届けてくれとは頼まれなかったろう。反乱軍対帝国の戦いが重要な岐路にさしかかっているにちがいない。 ルーク:オルデラン王室の人たちが反乱同盟軍のメンバーかもしれないなんて、まだ信じられないよ。 ベン:今はその話には触れないほうがよかろう、ルーク。もっと保安の行き届いた場所に着くまではな。 ルーク:なぜだい?ハンが・・・ ベン:ソロ船長の忠誠は、明らかに帝国ではなく自分自身にあるようだ。しかし、R2の中に何があるか、わざわざ知らせる必要はない。 ハン:(声をかける)光速へのジャンプはスムーズにいったろうが、お二人さんにドロイド・・・おい、あいつらは技術ステーションで何をしてるんだ? ベン:再充電しているだけだよ、船長。 ハン:そうか、あいつらにそのへんを触らんように言っといてくれよ。俺とチューイーはちょいと修理してくる。モス・アイズリーを飛び出した時と、帝国艦隊のレーザーの中をすっ飛ばした時に少しばかりやられたからな。よく見ててくれよ。尾けてるやつがいると困る。(遠ざかりながら)まあ、ゆっくりしててくれ。タトゥイーンの砂をはたきおわらんうちに、オルデランに送り届けてやるよ。 ベン:ありがたい! ルーク:船の中を見てこようかな。宇宙船に乗るのはこれが初めてなんだ。頭の中じゃ何度想像したかわからないけどね。 ベン:それはもう少しあとにしろ、ルーク。今はもっと大事なことがある。この仕事が何をもたらすか、オルデランでどんなことに出くわすかわからんが、おまえのトレーニングを始めたほうがよかろう。 ルーク:今?ここでかい? ベン:父親のようなジェダイ・ナイトになるために、フォースの道を教えてほしいとは言わなかったか? ルーク:言ったけど・・・ ベン:ジェダイの道は生涯かけて学ぶものだ。私が始めた時は、今のおまえより若かった。そして一定の段階に達したが、今でもそのすべてを完全に習得しているとは言えん。 ルーク:でも、大勢の弟子を教えてきたんでしょう、ベン?父さんを殺した裏切り者のジェダイ、ダース・ヴェイダーってやつも。 ベン:確かに、ダース・ヴェイダーは・・・私の弟子として始めた。 ルーク:ヴェイダーのことが知りたいんだ。そいつが誰で、なぜフォースのダークサイドへ転向したのか。いつかジェダイ・ナイトになったら、そいつと対決して、僕が誰の息子か言ってやりたいんだ。 ベン:ジェダイになりたければ、復讐心は捨てねばならん。 ルーク:だけど・・・ ベン:怒りと憎しみは・・・そう、それと恐怖は・・・フォースから力を引き出す助けになる。しかし、それはダークサイドからだ。そしてフォースのダークサイドにそそのかされた者たちは、最後は途方もない代価を払うことになる。 ルーク:でも・・・とにかく、ヴェイダーのことを教えてくれよ、ベン。どういう男なんだい?どうしてダークサイドに引き込まれたんだい? ベン:ルーク、ルーク、おまえはせっかちすぎるぞ。フォースの作用は必ずしも直接的ではない。フォースを習得するには、何よりも忍耐が肝心だ。 ルーク:ヴェイダーが父さんや他のジェダイを裏切ったという話を聞いてから、早くそいつと対決したくて仕方がないんだ。でも、あなたを急かすつもりはない。僕のことを心にかけてくれるのは嬉しいし、教えてくれるというのもありがたいと思ってる。 ベン:暗黒の時代の前、帝国がジェダイを抹殺する前から、私は弟子をとるのはやめた。何度ももう二度と教えまいと思った。だが、このままではジェダイの道が忘れ去られてしまう。おまえにはまだ理解できないが、これは単に一人のジェダイを教えるというより、もっと重要な機会なのだ。 ルーク:つまり・・・ジェダイ候補は僕だけしかいないってことかい? ベン:この銀河におまえと私の二人だけではないが、しかし、われわれの仲間の助けは期待できんだろうな。 ルーク:(考えるように)僕たちの仲間、か・・・何から始めるんだい? ベン:ジェダイが平和と正義の守護者だった頃、旧共和国の時代には、修行を希望する者はまず長い瞑想から入ったものだ。そして戦いの技を学ぶ前に、自分の心をフォースに向かって開くことから始めた。だが、今回はそんな時間はない。さあ、父親のライトセーバーを持つがいい。 ルーク:どうやって握るんだい? ベン:私のやり方をよく見て・・・真似るのだ。 サウンド:ベンがライトセーバーを取り出す衣ずれの音。 ベン:いいか、ブレードが現われると同時に攻撃できるよう、こうやって握るのだ。 ルーク:カンティーナで二人の殺し屋をやっつけた時は、ものすごい速さで抜いてたね。あれはどうやったんだい?あんな早業を見たのは初めてだ。 ベン:まず基本からだ、ルーク。こうやって− ルーク:走る前に、這えって言うのかい? ベン:いいから、そうやって・・・よし。では、こう構えろ。 ルーク:こうかい? ベン:そうだ。よく見ているのだぞ。グリップのこのボタンを押すと、ライトセーバーが起動され、エネルギーがほとばしる。 サウンド:シュッという音がして、ライトセーバーがうなりを発する。 ベン:そしてブレードが現われる。いいか?この基本的な構えをとればブレードを自在に動かせる・・・ サウンド:ベンがライトセーバーで空を切り、うめくような音を発する。 ベン:・・・攻めるもよし守るもよし、突っ込むことも引くこともできる。 サウンド:ベンがライトセーバーのスイッチを切る。 ベン:さあ、やってみろ。 ルーク:いいよ、ええと・・・ ベン:違う、違う・・・両足をもっと揃えろ。あまり広く開げると、スピードが落ち、動きが鈍くなる。そのほうがいい。自分のバランスの中心がわかるか? ルーク:うん、ばっちりだよ。 ベン:基本的な動きを見せるから、よく見ているんだ。 サウンド:ベンが再びブレードを起動する。次の説明の間、彼の優雅なステップと、ローブがはためく音、ライトセーバーを振る音が聞こえる。 ベン:この構えから、第一の構え・・・続いて第二・・・第三・・・第四の構えだ。円を描くようにブレードを振り、そして・・・再び最初の構えに戻る。 サウンド:ライトセーバーのスイッチが切れる。 ベン:わかったか? ルーク:たぶん。やってみてもいいかい? ベン:(笑って)いいとも。しかし慎重にな。ライトセーバーのブレードは、触れるものをすべて切り落とすことを忘れてはいかんぞ。 サウンド:ルークがブレードを起動する。 ルーク:このライトセーバーは・・・まるで生きてるみたいだ。 ベン:ある意味では生きているのだ、おまえを通してな。よいか、まず防御・・・ サウンド:ルークはぎごちなくベンの形を真似る。 ベン:そしてこうだ。もっと思いきって前に出ろ、ルーク。これが第三の構え、いや、ブレードをもっと高く上げろ!それでいい・・・続いて第四の構え。大きく回して、円を完成させる。そして相手を受け流すのだ! サウンド:ルークのライトセーバーが切れる音。 ルーク:見てる時より、ずっと難しいな。 ベン:ライトセーバーを正しく使えるようになるには、長年の注意深い練習が必要だ。しかし、初めてにしては筋がいいぞ。父親の敏捷さと調和した動きを受け継いでいるとみえる。 ルーク:でも、何だかまだぴんとこない。少なくとも、今すぐ使いこなすのは無理みたいだ。ブラスターの撃ち方なら、タトゥイーンのサバイバル・スクールでみっちり仕込まれたから、今回はそっちにしておいたほうがいいかもしれないな。 ベン:ライトセーバーを使えば、単なる銃にはできんことができる。しかしそれ以上に、ライトセーバーは心を律し、身心を鍛錬する。ジェダイがフォースに触れる方法の一つなのだ。 ルーク:わかったよ。ただ、これまで使った武器とは全然違うから。もう一度、今のドリルをやってみるよ。 ベン:待ちなさい、ルーク。オルデランに到着したら、おそらくわれわれは持てる限りの力を発揮する必要があるだろう。フォースに身を委ねることによって、トレーニングを加速することにしよう。 ルーク:何だって?どうやって? ベン:もっとフォースとおまえ自身への信頼を強めるのだ。揺るぎない確信、すなわちフォースに対する信頼があれば、大きな力を引き出すことができる。 ルーク:言われたとおりにやってみるよ。どうすればいいんだい? ベン:単純に信じるのだ。私が助けてやる。おまえを導き、フォースとおまえをつなぐ仲介になろう。いいか、私は後ろに立つ。他のことを考えず、今のドリルをやる場所をじっと見つめ、私の声を聞き、それに気持ちを集中しろ。 ルーク:わかった・・・ ベン:ドリルを行っているところを思い描け。体を動かさず、連続した動作の形を感じるのだ。腕と脚がどう動くか、神経と筋肉がどう連動するか、その時の感覚をできるだけ実感として捉えろ・・・ライトセーバーの大きな円の動き、足の位置、体のバランスの中心、それを思い浮かべろ。さあ、ブレードを起動するがいい。 サウンド:ルークがライトセーバーを起動する。 ベン:よし。心を開き、頭の中で今の動きを追い、それに従って動いているところを想像しろ。今度はどんな感じだ? ルーク:体が自動的に動く。いや、そうじゃない・・・それよりも・・・何も心配しなくていい、って感じだ。何かがドリルを通じ、僕を動かしてくれる・・・ ベン:その調子だ、ルーク。そのままこのドリルを続けろ。速さを心配するな。次の動きもだ。何一つ思いわずらう必要はない。手の中にあるライトセーバーの命を感じ、その流れを読みとれ。(励ますような囁き)そしてそれを感じたら、準備ができたのだ・・・始めろ・・・ サウンド:一瞬後、ルークはしっかりした動きでドリルに従う。今度はリズミカルで、優雅で、調和のとれた動きになる。 ベン:(低い声でつぶやく)まず防御、そうだ・・・続いて第二の構え、いいぞ、ルーク・・・第三の構え、その調子だ・・・第四の構え、そうとも!そしてもとの構えに戻る。 サウンド:ルークがライトセーバーのスイッチを切る。 ベン:よくできたぞ、ルーク!どんな感じがした? ルーク:ものすごくスムーズで・・・自然だった。だけど、次にどう動くか考えていたわけじゃない。ドリルの・・・流れに乗って動いてた。 ベン:それでいいのだ。おまえには素晴らしい素質があるぞ、ルーク。フォースの能力がきわめて強い。もう少し練習するかね? ルーク:うん、そうしたいな。 ベン:よろしい。では、さっきの位置について、まずこれからの動きが自分の中に流れ込むのを感じるがいい・・・ サウンド:<ファルコン>のエンジンその他の機械音。しだいに消え、静寂が訪れる。 音楽:挿入。 サウンド:バックで<ファルコン>の音。ルークが別のドリルを習っている。 ベン:では、今度は第七の構えだ・・・くるりと回転して相手を受ける!そうだ!少し休むとしよう、ルーク。もうだいぶ練習したからな。 ルーク:でも、全然疲れてないよ。いつまでも続けられそうだ。 ベン:では、この老人を哀れに思ってくれ。私は一息入れる必要がある・・・ ベン:おや、チューバッカだぞ。コクピットのほうはどんな具合かな? チューイー:(近づく)うなって答える。 ルーク:何だって? ベン:損傷箇所の修理はすべて終わったそうだ。 チューイー:再びうなる。 ベン:オルデランに着く前に、奥の技術ステーションでホロゲームを一勝負やる時間があると言っとる。すまんが、チューバッカ、ルークと私は他にすることがあるのだよ。 R2:熱心にさえずる。 3PO:うるさい、R2。自慢をするのはやめないか! ルーク:R2はどうしたいんだい、3PO? 3PO:ルーク様、R2が申しますには、たった一人しか所員がいない燃料ステーションにメンテナンス・ドロイドとして送られた時、その所員の気晴らしの相手をするため、かなり高度なホロ=ゲームのテクニックをプログラムされたそうです。 ルーク:だったら、一緒にやるといいよ、R2。どうだい、チューバッカ? チューイー:続けざまに吠える。 ルーク:どうやら、オーケーらしいよ。 R2:自信たっぷりにさえずる。 サウンド:R2がデッキを横切り、3POがそのあとに従う。 3PO:(遠ざかりながら)たまには、自分が何をしているかわかっているといいんだがな。 チューイー:うなる。 ルーク:(声をかける)加速カウチじゃ、あまりチューバッカのそばに座らないほうがよさそうだぞ、3PO。 3PO:(遠くで)私も同感でございます。 ルーク:ねえ、ベン、あなたと実際やってみたいな。慎重にやれば、とてもいい− ベン:いや、まだおまえはそこまで達してはいない。しかし、もう少し上級のドリルならこなせそうだな。うむ、早撃ち用ホルスターをつけているところをみると、ソロ船長は射撃練習にリモートを使うにちがいない。どこに・・・ああ!(デッキを横切り)ここにあった。(ルークのそばに戻って)こういう球状のリモート・ターゲットを使ったことはあるかな、ルーク? ルーク:うん、一度か二度はね。 ベン:これをリセットして、と。これは空中に浮かんであちこちに動きながら、おまえに向かって無害な光線を発射する。少しばかり痛いかもしれんが、害はない。それをライトセーバーで遮るんだ。私がこれを空中に放したら、攻撃が始まるぞ。用意はいいか? サウンド:ルークがライトセーバーを起動する。 ルーク:いいよ。 サウンド:リモートはリパルサーのパワーで上下、前後に素早く動き回り、突然シュッという音をさせ、細い光線を発射する。 ルーク:あいた!すごく痛いよ! ベン:本物の敵に比べれば、痛いうちには入らん。ライトセーバーのブレードを起動している間は、攻撃するようにセットしてある。続けろ、ルーク。心を開き、フォースに触れ、それの攻撃を予測するのだ。そうすれば− サウンド:ベンが突然ショックにあえぐ。 ルーク:ベン! サウンド;ルークがライトセーバーを切る。リモートの動きが止まる。 ルーク:(近づく)ベン、大丈夫かい?ほら、座って。どうしたんだい? ベン:フォースにものすごい乱れを感じたのだ・・・まるで何百万という人々が恐怖の叫び声をあげ、それから突然、沈黙させられたような・・・一瞬にして一つの惑星が滅びたような。何か恐ろしいことが起こったにちがいない。 ルーク:僕にできることはないかい? ベン:いや、私は大丈夫だ。 ハン:(近づく)まあ、あんたのトラブルは忘れるこった。まもなくオルデランだぞ。俺なら帝国軍のうじ虫どもを出し抜けると言ったろうが!とにかく、オルデランには0200時に到着の予定だ。おや、チューイーは相手を見つけたらしいな。あんたのチビ・ドロイドはなかなか強者じゃないか。気をつけたほうがいい。やつが勝つかもしれんぞ。 チューイー:(近くなる)怒って吠える。 ハン:だから言ったろうが、チューイー。そいつはトラップだったんだ。 チューイー:再び歯をむき出す。 3PO:(近くなる)だが、R2は正々堂々と戦っているぞ、チューバッカ!トラップにかかったのは、おまえが悪いんだ。いくらわめいても、何の足しにもなるもんか! ハン:チューイーに勝たせたほうがいいぞ。ウーキーの機嫌を損ねるのは、あまり賢いとは言えんからな。 3PO:お言葉ですが、船長、ドロイドが機嫌を損ねても誰も心配してくれません! R2:ひとしきりさえずる。 ハン:そいつはちゃんと理由があるのさ。ドロイドは負けても相手の腕を引っこ抜くような真似はせんが、ウーキーはそれで有名だからな。 チューイー:同意するように喉を鳴らす。 3PO:なるほど。(チューイーから離れ)R2、作戦を変更しないか・・・ウーキーに勝たせてやれ! チューイー:気取った声をあげる。 ルーク:ベン、少しは気分がよくなったかい? ベン:ああ。さっきのドリルを続けよう。ライトセーバーの用意はできたか? サウンド:ルークがライトセーバーを起動し、リモートが動きだす。 ルーク:いいよ。 ベン:いいか、ジェダイは体内を流れるフォースを感じるものだ。 ルーク:つまり、フォースが僕の動きを制御するってことかい? ベン:そうも言えるし、フォースがおまえの命令に従うとも言える。注意しろ・・・ サウンド:リモートが近づき、細い光線を発射する。 ルーク:くそ、脚をやられた! ハン:(笑って)イカサマ宗教と時代遅れの武器より、性能のいいブラスターのほうがずっと役に立つぞ、キッド! サウンド:ルークがライトセーバーのスイッチを切る。 ルーク:あんたはフォースを信じないんだね、ハン? ハン:キッド、俺はこの銀河を端から端まで飛び回ってきた。奇妙なものはいろいろいろと見たが、万能のフォースってやつがすべてを制御する、なんて眉唾な話が信じられる現象には、一度もお目にかかったことがないな。俺の運命を制御してるのは、神秘的なエネルギー・フィールドなんかじゃない! ベン:では何だね? ハン:ふん、あんたがこいつに話してるのはまったくの戯言さ。何もかも単純なトリックで説明できることばかりだ。 ベン:もう一度やって見なさい、ルーク。ほら・・・今度はこのクラッシュ・ヘルメットをかぶるといい。ブラスト・シールドをもっと低く調節して・・・ サウンド:ベンがヘルメットを調整する。 ベン:いいか、頭で考えずに、直感で動くんだ。 ルーク:(笑って)でも、ブラスト・シールドがこんなに低いんじゃ、見ることもできやしない。どうやってリモートの光線を防ぐんだい? ベン:目が見えるほうがかえって、厄介かもしれんぞ・・・視覚はあてにするな。 ハン:もう一本の脚もやられちまうぞ、キッド。 サウンド:ルークはライトセーバーを起動する。リモートが彼に近づき、細い光線を発射する。 ルーク:痛い! チューイー:うなるように笑う。 ハン:(笑う)今のはもう少しだったぞ!がんばれ、キッド、腕は上がってるぞ! ベン:もう一度だ、ルーク。私の声を聞き、私を信じろ。心でフォースに触れるのだ。 サウンド:リモートが再び動く。ルークはじっとその場に立ちつくす。リモートが三度続けて光線を発射するが、ルークはそれをライトセーバーで受ける。エネルギーがぶつかる新しい音がする。 3PO:ルーク様、やりましたよ! サウンド:ルークがライトセーバーのスイッチを切る。 ハン:ああ。だが、生きてる相手はリモートのようなわけにはいかんぞ。 ベン:おまえは自分の感覚を信じて、今の三発を防いだのだぞ、ルーク。わかったか?やればできるのだ! ハン:そうかい?俺に言わせりゃ、今のは幸運だったのさ。 ベン:私の経験では、単純な“幸運”など存在しない。 ハン:いや、幸運と金、こいつはどんな信仰にも負けんくらい御利益があるぜ、じいさん。 ベン:富か、そうだったな。きみにとってはそれが何より重要だということを忘れていたよ。 ハン:金にケチをつけるなよ。俺とチューイーが金に困ってなけりゃ、おたくら二人とそのドロイドたちは、まだタトゥイーンでストームトルーパーと鬼ごっこしてるんだぜ。金のおかげでおたくらは行きたい場所に行けるし、俺たちも借金が返せるんだ。 ベン:(笑い出す)きみは矛盾に満ちた男だな、ソロ船長。他の何よりも宇宙を飛び回る自由を大事にしているくせに、金などという取るに足らんもので、その自由を抑えられている。考えてみれば、銀河全体が同じような状態にあるのだな。 チューイー:怒ったように吠える。 ハン:そうとも、チューイー!(ベンに)金が取るに足りないって?だったら、一文も持たずに暮らして見ろ! ベン:ああ、私はそうしているよ。 ハン:何だと・・・ ベン:きみは私がクレジットを手にしているところを見たかね?そうだな、もう何年も私はクレジットを手にしていない・・・それを残念に思ったこともないし・・・不足を感じたこともない。 ハン:しかし・・・いや、まあ・・・いいだろう、確かに、金を払ったのはそのキッドだ。だが、こいつが払わなきゃ、あんたはどこへも行けなかったんだぞ。 ベン:すると私は・・・運がよいことになるのかな? ハン:くそ、何だって俺はあんたみたいな老いぼれの変人と話してるんだ?あんたは食事の金さえ持っちゃいないんだろ?腹がすいたら、この話の続きをしようぜ。 サウンド:技術ステーションからビープ音が聞こえる。 ハン:何はともあれ、オルデランに着いたようだ。いいかい、じいさんよ、この銀河じゃ、自由は金で量るんだ。充分な金があれば、好きなだけ速く、遠くまでいける。来いよ、チューイー。 ベン:(呼びかける)ソロ船長! ハン:(遠くで)何だ? ベン:宇宙は丸いのだよ。最高速でどこまでも飛んでいけば、やがては・・・振り出しに戻る。 ハン:おい、そいつは屁理屈って− チューイー:(遠くで)低くうなって遮る。 ハン:わかった、わかったよ、チューイー。今行くって。(ハンは独り言を言いながら、遠ざかる)頭のおかしいじいさんの相手になるなんて、俺もやきが回ったな・・・ ルーク:あの男の言うことなんか気にしないほうがいいよ、ベン。帝国の金を全部集めたって、僕があなたに手を貸して、あのドロイドたちを届けるのを・・・プリンセス・レイアのために働くのを阻止できやしない。 ベン:わかっているとも、ルーク。おまえを信頼しているよ。 ルーク:ねえ、さっきのドリルで本当に何か感じたんだ。あのリモートが次に何をするか見えるような気がした。 ベン:それはよかった。おまえはこれまでより広い世界に一歩踏み出したのだよ。 |
32y+3m+8d ASW1 |
サウンド:バックにコクピットの音。計器が鳴り、エンジン音が高くなり、センサーのリードアウトがカチカチ音を立て、オシロスコーブその他が音を立てる。 ハン:あの老人とキッドは癇に障るぜ。何が嫌だって、うぶな理想主義者ほど嫌なものはない。ああいう手合いはトラブルのもとだ! チューイー:穏やかにうなる。 ハン:いいや、あいつらは“それほど”たちが悪いのさ!おまけに危険だ。おまえも見たろ。帝国艦隊が必死で追いかけてきたんだぞ! チューイー:再びうなる。 ハン:どうした、歳をくって丸くなっちまったのか?二人とも密輸なんかやめて、スープ・キッチンでも聞いたほうがいいかもしれんな。 チューイー:怒って喉を鳴らす。 ハン:わかった、わかった、落ち着けって。ナビ・コンピューターが、そろそろノーマルスペースに離脱する時間だと言ってるぞ。よし、行こう。サブライト・エンジンを切るぞ・・・ サウンド:<ファルコン>のエンジン音が低くなる。 ハン:・・・これでめでたく− サウンド:<ファルコン>が出し抜けに激しく揺れ、アラームが一斉に鳴りだし、計器が狂ったような状態を示す。 チューイー:うんざりして吠える。 ハン:何だ、こいつは・・・くそ、ハイパースペースから出たとたんに、流星群のシャワーに飛び込んじまったぞ!どこもかしこもそいつでいっぱいだ!デフレクター・シールドの出力を上げろ! チューイー:うなる。 サウンド:スイッチを入れる音。 ハン:アステロイド同士が衝突でもしたのかもしれんな。ただ・・・チャート(宙図)にはそんなのはないが。 ルーク:(近づく)どうしたんだい? ハン:瓦礫を一杯拾いに寄ったのさ。他に何がある? ベン:(近づく)オルデランの近くに、航行上のトラブルはないはずだが。 ハン:(つぶやく)俺たちは正しい座標にいるぞ。ただ・・・オルデランがないだけだ。 ルーク:どういう意味だい?オルデランはどこにあるんだ? ハン:そいつは俺のセリフさ、キッド。オルデランはない。吹っ飛ばされちまったんだ。 ルーク:そんな馬鹿な。 ベン:破壊されたのだ・・・帝国に!さっきフォースの乱れを感じたとき、気づくべきだった・・・ ハン:どんなでかい艦隊でも、惑星を吹っ飛ばすことなんかできるもんか。それには何千という戦艦と、想像もつかない数の武器が・・・ サウンド:電子音が鳴り響く。 ルーク:コンソールのあのライトは何だい? ハン:すぐ近くに別の宇宙船がいる、センサーがそう言ってるんだ。 ルーク:向こうの船は、オルデランに何が起こったか知っているかもしれないよ。 ベン:あれは帝国のファイターだ。 ハン:どうしてそんなことがわかる?センサーは相手のIDを確認してはいないぞ・・・ サウンド:<ファルコン>が再び揺れる。 ルーク:僕たちを撃ってくる!見ろよ! ハン:しかもTIEファイターだ。大当たりだよ、じいさん。すごい勘だな。 ルーク:きっとタトゥイーンから尾けてきたんだ! ベン:いや、あれは短距離しか飛べん。 ハン:だが、この付近には基地はないはずだぞ。いったいどこから来たんだ? ルーク:輸送船団からはぐれたのかな。見ろよ!ものすごい勢いで遠ざかっていく。あのパイロットがこっちを認識していたら、厄介なことになるな。 ハン:そいつは俺に任せろ。チューイー、向こうの電波をジャミングするんだ。 チューイー:うなる。 サウンド:ハンとチューイーはコンソールを操作しはじめる。エンジンの音が大きくなる。 ベン:あれは行かせたほうがいい。レンジのはるか外だ。 ハン:これくらいの距離はすぐに縮まるさ。あんたは何もかも知ってるつもりだろうが、<ミレニアム・ファルコン>についちゃ、まだまだ驚くことが山ほどあるぞ。つかまってろよ・・・ サウンド:<ファルコン>のエンジンが轟音を発する。 ハン:チューイー、武器システムをセンサー・ロックに切り替えろ。あいつがレンジに入ったら教えてくれ。二、三度レーザーを速射すりゃ、こっちの心配の種は片がつく。ついでにあっちのもな。 ルーク:見ろよ!あのTIEファイターは向こうの小さな衛星に向かってるぞ! ハン:ああ。だが、距離は縮まってる。やつがあそこにたどり着く前に、仕留められるはずだ。もうすぐレンジに入るぞ。 ベン:あれは衛星ではない!スペース・ステーションだ! 音楽:低く、このシーンの終わりまで続く。 ハン:何だと?あんたは思ったよりずっと狂ってるな。あの大きさを見てみろ!スペース・ステーションにしちゃ大き・・・ チューイー:苦痛に満ちたうめきを発する。 ハン:・・・何てこった、ほんとにスペース・ステーションだ・・・ ルーク:ベン、あなたの言うとおりだ。嫌な予感がしてきたよ。 ハン:おまえもか? ベン:引き返すのだ! ハン:ああ・・・そうだな。逆噴射全開! チューイー:うなる。 ハン:チューイー、補助軸パワーにロックしろ。 サウンド:<ファルコン>が揺れはじめる。 チューイー:咆哮を放つ。 ハン:チューイー、補助軸パワーにロックだ! ベン:遅かったか・・・ ルーク:どうしてまだあのステーションに向かってるんだい? ハン:<ファルコン>が反応しないからさ!あそこにあるのが何にしろ、俺たちをトラクター・ビームでつかみ、あの中に引きずりこもうとしてるんだ! ルーク:何とかしろよ! ハン:あんな怪物のビームが相手じゃ、どうにもならん!全開にしてるが、切るしかないな。さもないと、エンジンが溶けちまう。チューイー、デフレクター・シールドを全開にして、前方に集めろ! チューイー:喉を鳴らす。 サウンド:彼はさらにスイッチを入れる。 ハン:おとなしく捕まると思ったら、大間遠いだぞ! ベン:しかし、あれと戦っても勝てんぞ。 ハン:ああ。だが、帝国軍の将校を何人か血祭りにあげることはできる。 ベン:いや、戦うよりもよい案がある。それなら、助かるかもしれん。 チューイー:すがるようにうなる。 ハン:いいだろう、じいさん。そいつを聞こうじゃやないか。どうするんだ? ベン:きみは密輸業者だ。違うかね?この宇宙船は速いだけではなく、秘密の倉庫もあるはずだ。それを利用するとしよう。 ハン:どうやって・・・ ベン:あのステーションのセンサー・レンジに入る前に、急いでいくつかエスケープ・ポッドを投棄する。そしてそれをこの船のログに記録するのだ。ルーク! ルーク:何だい、ベン? ベン:急いでドロイドたちを連れてこい。あまり時間がない。 ルーク:わかった! ハン:あんたの計画が俺の想像どおりで、そいつがうまくいったら、今度乗せる時は半額にしてやるよ。 ベン:成功することを祈るしかないな。 ハン:もしだめなら、襲撃部隊の的にされるだけさ! |
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