新たなる希望 #15 |
年 代 | 出 来 事 | 場 面 | 参 考 |
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サウンド:バックでタトゥィーンの風が吹き上がる。 ナレーター:砂漠の惑星タトゥイーンのウェスタン・デューン・シーの瑞にオーウェン・ラーズの水分農場がある。ここにR2-D2と相棒の通訳ドロイド、C-3POがやって来た。彼らはオーウェンと若き甥のルーク・スカイウォーカーに購入されたのだ。再び自由の身になったR2は、不思議な人物オビ=ワン・ケノービへのメッセージを届けるために逃げ出した。R2の任務を知らないルークとC-3POはタトゥイーンの双子の太陽に照り焦がされた痩せた大地で、R2がダメージを受ける前に彼を捕まえようとしていた。 サウンド:技術ドームでの機械のうなり。 ルーク:(遠くで)3PO?起きているかい?夜明けだ−3PO? サウンド:3POのサーボが始動する。 3PO:え?ルーク様、あなた様ですか? ルーク:(近づきながら)しーっ!もしR2がどっかに行ったっておじさんに知れたら、生きたまま皮を剥がれる。 3PO:準備はできています、ご主人様。昨晩のうちに蓄電ユニットを急いで充電しました。 ルーク:僕のスカイホッパーはベガーズ・キャニオンに激突させちゃったからな。ランドスピーダーでR2を探すのは大変だ。 3PO:地上へ出る扉を聞けましょうか? ルーク:だめだよ!おじさんを起こしたいのか?夜用にメイン・パワーは降りたままだ。パワーを入れるつもりはないよ。 3PO:あ、わかりました・・・こっそり行くんですね。 ルーク:うん、うん。ドアは手動で上げるよ、おまえはスピーダーを押し出すんだ。リパルサー・フィールドが付いてるから簡単に浮かぶだろう。 3PO:かしこまりました、ご主人様。 サウンド:ルークの足音が遠ざかる。 サウンド:クランクが爪を引っかけて始動し、ドアを巻き上げる小さな軋り音がする。 ルーク:(遠くで、囁く声がして)いいぞ、ドアが充分な高さになった。ランドスピーダーを押し出せ。それから体をかがめることを忘れるな。 3PO:(囁きながら)簡単に移動しています、ご主人様。何の造作も・・・ ルーク:前を見てろ!3PO、かがむんだ! サウンド:同時にドアに3POが頭をガンとぶつける音。 3PO:(近づきながら)ああっ・・・あなた様のご忠告に従うべきでした、ご主人様。私の頭部はへこんでいますか? ルーク:いや、いや、大丈夫さ。始動させる前に、もう少しスピーダーを出そう。 3PO:まったく、あのR2-D2め!これでまた貸しができたぞ!あいつときたら面倒ばかり引き起こす!捕まえたらただじゃおかないぞ! サウンド:3POの足音が砂の上を重い足取りで歩き、ランドスピーダーを音を立てて動かす。 ルーク:(苦労しながら)さあ、3PO、押せ! 3PO:こう申しあげては何ですが、あなたの用心はもっともです、ご主人様。あのおじ様はどちらかというと大変怒りやすいとお見受けしました。 ルーク:3PO、おじさんはお金を使うのが嫌いなんだ。最初はあのジャワたちからおまえとR2を買うのに反対していたんだ。もしR2が逃げたとわかったら・・・ 3PO:ルーク様、よろしければ・・・私はランドスピーダーのような地上ビークルを運転するという副次機能をプログラミングされておりまして。私がスピーダーを操縦すれば、あなたはR2の残した跡を探すのに専念できます。 ルーク:いい考えだ。行こう。 サウンド:彼ら二人はランドスピーダーに乗り込む。エンジンが回り、スピーダーは加速し、シューという音を立て、鋭く向きを変える。それからエンジンの安定したうなりが低く鳴る。 ルーク:3PO、気をつけろ!もっと軽く操縦するんだ。 3PO:はい、かしこまりました。ご主人様。これはステアリングの反応が素晴らしいです。おそらく日頃の手入れが行き届いているのでしょう。 ルーク:まあね。僕は物事が確実にうまく運ぶのが好きなんだ。ねえ、たぶん夜風がR2の足取りを消してしまったろうが、二人があのジャワたちに捕まった時、あいつが探そうとしていたものが何であれ、それを目指して進んでいると思うんだ。 3PO:私どものエスケープ・ポッドはあの方角のどこかに着陸しました。R2はしきりにあの台地の先のあたりへ行くのだと言っておりました。 ルーク:スキャナーで見つかるかもしれないな。 サウンド:スイッチが入る。 ルーク:おまえが正しければ、まっすぐジャンドランド荒野を目指したんだ。 3PO:こう申しあげては何ですが、このタトゥイーンは荒れ果てた場所ですね、ルーク様。まったくなぜR2がここへ来たがるのか理解できません。任務だとか秘密のプランだとか、それにこのオビ=ワン・ケノービだとか、無意味なたわごとを何度も繰り返していました。 ルーク:まあ、ベン・ケノービはこの方角のどこかに住んでるよ。おじさんは僕が昨晩、夕食のテーブルでベンじいさんの名を口にしたら怒り狂った。 3PO:そんな人物が本当にいるのですか?私はR2が機能不全で完全に混乱状態に陥り、幻覚を見ているのだと思っていました。 ルーク:いいや、ベンは本当に生きているよ。二、三回見たことがある。おじさんのような古手の入植者は皆、ベンが魔法使いか何かと思っている。ねえ、少し左に行くと、台地の壁にあいている穴がある。 3PO:わかりました、ご主人様。ああ、はい、スキャナーで見えます。ご主人様、お聞きしてよろしければ、そのベン・ケノービはいったいどんな人なのですか? ルーク:そうだな、まずすごい年寄りだ。それにジャンドランド荒野とデューン・シーを徒歩で移動してる。いいかい、そんな人間は他には一人もいないんだよ。町の物をそんなに必要としないし、ほとんどアンカーヘッドへ行くことはないんだ。 3PO:それで、会われたことはあるのですか? ルーク:まあね・・・約五年前に・・・まだ、R2の形跡がないな・・・ 3PO:この分岐点はどちらに行けばよろしいでしょうか? ルーク:左だ・・・荒野に入ろう。友だちのウィンディと一緒に彼のデューバックでこの荒野に入ったことがある。 3PO:失礼ですが、ご主人様、どちらかというと軽率に聞こえますが。 ルーク:僕たちはほんの少しの間、自分たちだけでやってみたかったんだ。わかるだろ、退屈してたんだ。 3PO:私にはそういうことはまったくわかりません、ご主人様。 ルーク:デューバックは僕たちを峡谷の一つに放り出して逃げ去った。僕たちはちょっと打ち傷を負った。暗くなってもまだ荒野を出る道が見つからなかった。夜のいろんな物音にまじって、その時、聞こえたんだ。遠くから・・・ 3PO:ひ・・・人の声ですか、ご主人様。 ルーク:・・・それも僕の名を呼んだんだ!それがベン・ケノービ老人だった。どうやってか、ベンは僕たちを発見して、農場に戻れるよう案内をしてくれたのさ。無人の痩せた土地で生きるのがどんなものか、たくさんのことを教えてくれた。 3PO:ここで生きたいと思う人間がいるとは、私にはとても思えません! ルーク:しかし不可思議なことが起こったんだ。ベンが僕たちを連れ戻ると、オーウェンおじさんが心底狂ったように怒ったんだ・・・ウィンディと僕にじゃなく、ベンにね。彼はベンに農場から出て行くように命令して、戻ってくるなと警告した。ベンはなんだか妙な顔で僕を見ていた。何か言いたげにね。だけどオーウェンおじさんはベンに機会を与えようとしなかった。 3PO:とくに意外ではないと存じますよ、ルーク様。あなたのおじ様は大変怒りっぽい方ですから。 ルーク:まあね、だけどそれがおかしなとこだったのさ。彼のことをそんなによく知らなかったら、あの時おじさんは脅えていたと思っただろう。 3PO:ここはまったく恐ろしい場所ですね。早くR2を見つけて、すぐ離れましょう! ルーク:R2はここまで来たとは思えないな。きっとデューンで逃したんだ。 3PO:でも、充電してくれたばかりですから、ご主人様。一晩あれば相当遠くに行けるでしょう。 ルーク:オーウェンおじさんはすごく怒るだろうな。 3PO:すべて私のせいだといえば、少しはちがうかもしれませんよ、ご主人様。 ルーク:うん、それはいい考えだ!おじさんは水分収穫におまえが必要だからね、3PO。最悪でも、二、三日間おまえを停止して、おまえのメモリーを消去するくらいですむよ。 3PO:メモリー消去?まあ、その、よく考えてみると、ご主人様が行動規制ボルトを外さなければ、R2は決して逃げなかったのですから。 ルーク:ちょっと待て!スキャナーに何か映っている。すぐ前方だ。やつに違いない!急げ、3PO! サウンド:スピーダーが加速する。 ルーク:僕たちのまっすぐ正面のどこかだ。 3PO:ご覧ください、ご主人様!あそこに彼が!R2-D2です! ルーク:彼の隣に回り込め。 サウンド:ランドスピーダーが停止し、エンジンが静まる。風が吹き上がる。バックにR2の口笛を吹くような鳴き声。ルークと3POがスピーダーから降りる音。 ルーク:R2!おい、ほら、どこへ行くつもりでいるんだ? R2:言い訳するように、まくしたてる。 3PO:ルーク様が今の正当な持ち主なんだぞ、R2。もう訳のわからないこのオビ=ワン・ケノービとやらを持ちだすな! R2:怒ってキーキー音を出す。 3PO:そして、おまえの秘密の任務もあきあきだ!ルーク様がおまえをあのジャワたちに返さないだけでも、幸運だと思え! ルーク:いいや、3PO、もういいよ。しかしオーウェンおじさんが捜しにくる前に、おまえたち二人を南の屋根の凝結機のところに連れていかなくちゃ。 3PO:こう言っては何ですが、このチビの逃亡者は停止するべきだと思います・・・ R2:遮るように半狂乱にホーホー言う。 ルーク:今度はどうしたんだ? 3PO:ああ、大変だ!ご主人様、彼が言うには、南東の方角から未確認タイプの数体の生物が近づいて来るそうです。 ルーク:サンドピープルだ!タスケン・レイダーだ!最近このあたりで姿を見かけているんだ。様子を見たほうがいい・・・ライフルを持ってこよう。3PO、そのマクロバイノキュラーを取ってくれ。 3PO:ご主人様、実際そんなものが必要だと・・・ ルーク:来いよ!急いで様子を見よう。R2、おまえはここにいろ。 R2:寂しそうに了解する。 ルーク:(遠ざかる)いいかい、あの岩を見ててくれ、3PO。彼らを見分けるのはちょっと難しい・・・ サウンド:入れ替わりに。 3PO:ルーク様、私は、あの岩を登ることを想定して造られてはおりません! ルーク:ここからならR2が何を探知したか見えるはずだ。持にこのマクロバイノキュラーがあればね。低くしてろ。どれどれ・・・ サウンド:マクロバイノキュラーが調整し焦点を合わせる。 3PO:(囁きながら)何か見えますか、ご主人様? ルーク:ええと、確かにあそこに二頭のバンサがいる。だけどタスケン・レイダーは、一人も見かけない・・・待て!一人が見張りで立っている。おい、何かが僕の視野をじゃましているぞ。何が・・・! サウンド:タスケン・レイダーが耳を覆うばかりの雄叫びをあげる。 ルーク:レイダーだ! 3PO:ルーク様!防いでください! サウンド:レイダーがわめき続ける。 3PO:あぶない!ルーク様! ルーク:何・・・!? サウンド:鈍い衝撃音。ルークは痛みのうめき声を出して後ろに倒れる。レイダーが吠える。 3PO:よせ!近づくな・・・私は食えないぞ・・・あああ・・・ サウンド:タスケン・レイダーの勝利の雄叫びが、言い争ったり吠えたりブツブツ言ったりする声になる。彼らの慌ただしい足音がべそをかくような電子音を発しているR2に向かって来る。ルークのうめき声。突然に遠くからつんざくような金切り声が木霊する。その声に反応してレイダーは疑わしげな警告音を発した。金切り声は繰り返され、レイダーがさらに警戒するような言葉を交わしながら慌ただしく退却する。その後しばらくして規則正しい足音が近づき、うめいているルークのそばで止まる。布の衣擦れ音とわずかなうなり声がルークの傍らでひざまずいていることを示す。 ベン:やはりそうだったか・・・ルーク・スカイウォーカーだ。 R2:脅えてビープ音を出す。 ベン:何だ?おや、こんにちは、ちびドロイド! R2:用心深くシグナル音を出す。 ベン:ここにおいで。心配はいらんよ。 R2:再び口笛のような音を発する。 ベン:え?ああ、心配するな。この若者は大丈夫だ。 R2:嬉しそうに返答する。 サウンド:ベンとルークの方へR2が低くうなりながらやって来る。 ルーク:(朦朧として)何が起きたんだ? ベン:楽にするがいい。忙がしい朝になったな。怪我もせずに運が良いぞ。タスケン・レイダーと闘って生きのびた者はほとんどいない。 ルーク:ベン?ベン・ケノービ!ああ、会えて嬉しいよ! ベン:ジャンドランド荒野は軽々しく歩き回るものではない。こんな遠くまで来た訳を教えてくれ、ルーク。 ルーク:ああ、ここにいるちびのアストロメク・ドロイドのせいです。 R2:熱意を込めてさえずる。 ルーク:こいつは自分の正当な持ち主を捜しているんです。こんな献身的なドロイドは見たことはない・・・何としても止められないんだから。 サウンド:ルークが身動きして擦れる音がする。 ルーク:うっ、頭が! ベン:ゆっくり起き上がるんだ。おまえはひどく殴られたんだ。 ルーク:何がサンドピープルを追い払ったんです? ベン:やつらが怖がるもの・・・私がちょいと手助けしたのさ。クレイト・ドラゴンが狩りをする時の泣き声を真似したのさ。あとはやつらが勝手に想像し、すたこら逃げていったんだ。 ルーク:そうか。ところで、ここにいるR2-D2が“オビ=ワン・ケノービ”が所有者だと言うんだけど、あなたと親戚の人ですか? ベン:オビ=ワン・ケノービ!さて、長いこと耳にしなかった名前だ。 ルーク:僕のおじは彼のことを知っていたようです。オーウェンおじさんはオビ=ワンは死んだと言ってました。 ベン:ああ、死んでいないよ。少なくともまだね。 ルーク:知ってるんですか? ベン:ああ、もちろん、彼なら知っているよ・・・私なんだから!しかし、オビ=ワン・ケノービの名を名乗っていたのは、まだおまえが生まれる以前のことだ。 ルーク:じゃあ、このドロイド、あなたの物ですか? ベン:今までにドロイドを所有した覚えはないな。 サウンド:ずっと遠くでタスケン・レイダーの叫びが木霊する。 ベン:屋内に入ったほうがよい。サンドピープルを驚かすのは簡単だが、やつらはすぐ戻って来る。ついでにもっと多勢の仲間をつれてな。私の家はここのすぐ先だ。 R2:しつこく鳴く。 ルーク:何・・・ああ、3PO! ベン:3POとは誰だね? ルーク:C-3POはR2-D2の相棒なんです。タスケン・レイダーが飛びかかってきた時、やられたにちがいない。 ベン:では急いで探そう。一刻も早くな。 サウンド:ルークとベンは苦労して立ち上がる。 ルーク:(呼びかけながら)ここにいる、岩の陰だ。 ベン:わかった。 サウンド:彼らは低い声を発しながら動く。低くなる。 ベン:見ろ、腕がここにある・・・リンケージがすべて外れてる。 ルーク:彼を起こすのを手伝って。 サウンド:引き起こされる3POのジョイントが軋む。 ルーク:再始動スイッチを入れてみる。よし。 サウンド:スイッチが入る。 ルーク:何も起こらない。 ベン:もう一度やってみろ。 サウンド:再びスイッチが入る。サーボがうなり、さまざまなカチッという音が3POの機能復帰を表示する。 3PO:ルーク様!私はどこに?サンドピープルが斧を私に振り下ろした時、よろけたにちがいありません。 ルーク:立てるかい?奴らが戻る前にここから立ち去らなきゃ。 3PO:立てそうにもありません!行ってください、ルーク様。私のためにあなた様を危険にさらしたくないんです。もうだめです! ルーク:ばかなことを言うなよ。手を貸してやるから立ち上がるんだ。ランドスピーダーはそれほど離れていない。 ベン:さあ急ぐんだ。サンドピープルがやって来る。私の家に行こう。来なさい。 音楽:盛り上がる。 サウンド:ドアが開く。 ベン:簡素なところだが、ルーク・・・ここに比べればおまえのおじさんの家はお屋敷だな。その隅に3POを座らせなさい。 サウンド:ベンはドアを閉め、同時に3POは座らされた。 ルーク:どう直せるか診てみよう。 ベン:(近づきながら)ここにツールボックスがある。損傷はそんなにひどくはないようだ。倒れた拍子に彼の自動制御分離部がはずれたのだろう。単純に肩のリンケージを再接続すれば自動的にシーリングされて動作するさ。 サウンド:ルークはしばらくツールを掻き回して3POを直しはじめる。 ルーク:うーん。ああ、ベン、そうとおりだ。そういった、その・・・ドロイドの修理について何でも知ってるんだね。 ベン:おいぼれの隠遁者なのに? ルーク:僕・・・僕はそんな意味で言ったんじゃないよ。 ベン:ああ、よくわかってるよ。しかし孤独がいつも無知を招くと思ってはいけないぞ、ルーク。 ルーク:こ、ここは本当に素敵な場所ですね。それにとてもうまい具合に隠れている。 ベン:必要なものはそろっているよ。喧騒のない、風雨を避けられる、居心地のよい場所。質素に生活し、とても大切にするものだけを周囲に置くほうが好ましい。これはジェダイの信条の一つだ。 ルーク:ジェダイ?あなたはジェダイ・ナイトだったのかい? ベン:そんなに信じられないか? ルーク:ジェダイ・ナイトと、彼らの行跡をたくさん聞かされたから。 ベン:ああ、今の私には似つかわしいとは思えないか?まあ、実を言えば、わざとそうしてるのさ。しかし、それにもかかわらず、私はその一人だった・・・おまえの父親もそうだった。 ルーク:僕の・・・僕の父さん?けれど、そんなはずはないよ! ベン:ルーク、彼と私はクローン大戦で共に戦ったのだよ。 ルーク:父は戦争になんか行かなかった・・・スパイス・フレイターのナビゲーターだったんだ。 ベン:おまえのおじ、オーウェンが教えたことだ。あいつはおまえの父の考えに共感しなかったからな・・・おまえの父親はここに留まり、面倒に巻き込まれるべきではなかったと考えていた。 ルーク:父のことを教えてくれませんか。 ベン:彼は銀河きってのスター・パイロットだった。優れた戦士でもあった。そして良き友だった。(間をおいて)おまえも良いパイロットになったな、ルーク。それで思い出した。おまえに渡すものがある。(遠ざかりながら) 3PO:ご主人様、もしご用がなければ、しばらくパワーを落として、ざっと内部チェックしたいと存じますが。 ルーク:いいよ、そうするといい。 サウンド:だしぬけにメカニズムが停止し、低いカチッと音がする。 ベン:(そばに寄って来て)おまえが大きくなったら、渡してほしいと父親から預かっていたが、おまえのおじさんが許してくれなくてな。彼はおまえが老いぼれオビ=ワンにくっついて父親のように馬鹿げた考えで戦いに参加するかもしれないと恐れたんだ。前に一度おまえに渡そうとしたんだが、おまえのおじさんは私に農場から出て行き、決して戻ってくるなと命令した。 ルーク:あなたがウィンディと僕を救ってくれた時ですね!あの時のことはよく覚えてます!それから今日また危ないところに現われた。僕の運転ぶりも知っている。ベン、僕、僕のことをずっと見守って来たんだね? ベン:単純に言えば、おまえの成長に遅れまいとした。しかし、今はこのおまえの父の遺品のことだが・・・ ルーク:ええ、これは何ですか?何かの持ち手のように見えるけど。この先には何が付くのかな? ベン:おまえが手にしているのは父親のライトセーバーだ・・・これはジェダイの武器だ。さあ注意して握りにあるそのコントロールを押して。 サウンド:カチリと言って鋭い剪定鋏のような音声がする。ルークが動かすとビームがうなる。低くなる。 ルーク:わお、剣(ソード)だ! ベン:ライトセーバーだ。そのブレードは純粋なエネルギーなのだ。よく注意して扱わねばならん・・・触れたものは何でも切断する。ライトセーバーがおまえの動きにいかに容易く反応するかわかるか?ブラスターのように不格好でもないしデタラメでない。うまく使うことは優雅さの証だ。 ルーク:簡単に動く・・・まるで生きているようだ。 ベン:今よりも文化的な時代の優雅な武器だ。一千世代以上もの間、ジェダイ・ナイトたちは旧共和国の平和と正義の守護者だった。それは暗黒時代の前−帝国以前のことだ。 サウンド:もう一度、剪定鋏が切るような音。 ベン:今はそれくらいでよかろう。 サウンド:ルークがライトセーバーのスイッチを切る。 ルーク:ベン、どんなふうに父は死んだんですか? ベン:簡単にかいつまんで話すことではない。私の弟子の若いジェダイで、たぶん、最も優秀だった者だが、フォースのダークサイドに引き込まれて邪悪へと転じた男がいた。彼がおまえの父を裏切って殺した。彼の名はダース・ヴェイダー、帝国を助けてジェダイ・ナイトたちを狩り、虐殺した。よりすぐりの善人でさえも、フォースのダークサイドに引き込まれてしまうとそういう悲劇が起こると言うにとどめておこう。 ルーク:フォース? ベン:フォースはジェダイの力の源だ。あらゆる生きとし生ける物によって造り出されるエネルギー・フィールドだ。われわれの周りを囲み浸透している・・・銀河を結ぶものなのだ。 ルーク:それでそのダース・ヴェイダーは・・・ ベン:さっきも言ったように、長く複雑な話なのだ。その説明はまたの機会にしよう。 R2:急にビープ音を始める。 ベン:ああ、そうだったな、R2-D2、思いもよらない使者だ。さあて、なんでおまえをよこしたのか、どこから来たのかな。 R2:心得てビープ音を出す。 サウンド:ベンはうめきながらひざまずき、修繕する。 ベン:ふ−む、なるほど。コントロール・システムはごく通常型だ。 ルーク:僕はホログラム投影の一部分を見ました。彼の中にあるメッセージは− R2:ピーピー鳴く。 サウンド:パチパチいう空電音があってホログラフが作動する。 ベン:どうやら、これらしいな。 ホログラムイメージ:何年も前にあなたはクローン大戦で父を助けてくれました。今、帝国との戦いに父はあなたの助けを求めています。あなたを訪ね父の願いを直接伝えられないのが残念です。私の船が攻撃を受け、あなたをオルデランにお連れする任務は果たせなくなりました。私はこのR2ユニットの記録システムに反乱軍の安全に致命的影響のある情報を入れました。父はそれをどう取りだせばよいか知っています。このドロイドをオルデランへ届け、見てください。反乱軍の浮沈がかかっているのです。助けてください、オビ=ワン・ケノービ。あなただけが希望なのです。 サウンド:最後の空電で通信が終わる。一瞬の沈黙が流れる。 ルーク:(魅せられたように)彼女は誰ですか? ベン:(うわの空で)オルデラン王室のプリンセス・レイア・オーガナだ。帝国元老院議員で、帝国には知られていないが反乱同盟軍側の指導者だ。立派な女性に成長したな。 ルーク:彼女は美しい。こんな人は初めて見ました! ベン:確かに。(物思いからさめたように)ルーク、私とオルデランに来るつもりなら、フォースの道を学ばねばならん。 ルーク:(そわそわして、笑いながら)オルデラン?僕はオルデランに行くつもりはないよ。遅くなった・・・家に帰ったらものすごく叱られるだろうな。 ベン:しかしおまえの助けが必要なんだ、ルーク。彼女にはおまえの助けが必要なのだ。私はこういうことには歳を取りすぎている。 ルーク:一緒には行けない!やらなきゃならない仕事があるんだ!帝国はそんなに好きじゃない・・・嫌ってるよ!でも今すぐできることはないよ。だってそんな、ここから遠いところへなんか。 ベン:おまえのおじのセリフだ。 ルーク:おじさん!いったいどうやって、おじにこんなことを全部説明できる? ベン:フォースについて学ぶんだ、ルーク。 ルーク:わかった、とにかくアンカーヘッドまでは連れてくよ。そこからなら、モス・アイズリーでもどこへでも行くトランスポートがあるから。 ベン:もちろん、おまえが正しいと思っていることをするべきだ。 ルーク:正しいと思っていることだって?ベン、あなたを助けたいし、彼女を助けたい。けどオーウェンおじさんやベルーおばさんから逃げ出すことが正しいのかい?僕の家族はあの二人しかいない、二人を困らせるようなことはしたくないんだ!もしそれが正しくないなら、僕は間違ったことをするほうがいい! ベン:そう・・・もちろんだ。最も正しい意図が互いに矛盾することも、時にはあるものだ。その答えは、おまえの内にあるフォースと共にあるのかもしれん。(間があり、それからもっときびきびと)よろしい、おまえの親切な申し出に応ずるとしよう。できる限り急いでオルデランへ行かなければならんからな。 サウンド:しだいに消え、静寂。 サウンド:ランドスピーダーのエンジン回転が上がり、それから低いうなりになって続く。 ルーク:後ろで大丈夫かい、R2? R2:落ち着いてシグナルを送る。 ルーク:おまえはどうだ、3PO? 3PO:ええ、とても快適です、ありがとうございます。ご主人様。 ベン:もしおまえがこれに乗って送ってくれると申し出てくれなかったら、ドロイドと共にアンカーヘッドへ到着するのは難しい問題だったよ、ルーク。 ルーク:本当にあなたのためにもっとできることがあればと思うよ、ベン。だけどできるだけ早くあの南の尾根の凝結機にこのドロイドを連れていけば、それだけオーウェンおじさんに怒られるのが少しですむから。 ベン:ルーク、悪いがドロイドたちは私と一緒に来ることになるな。 ルーク:何だって?でも、この二体にはおじさんが大金を払って・・・ ベン:(遮りながら)まさかこの二体を置いていけるとは思わんだろう?おまえもあのメッセージを聞いたはずだ。生死に関わる重大な情報だ、R2-D2を手放す危険は犯せない、それに安全のためにも、C-3POも連れていく しかないんだよ。 ルーク:しかしオーウェンおじさんに何て言おう? ベン:それはおまえの良心にまかせよう。が、ここにもう一つ考えることがある。帝国の手先がこの二体のドロイドを探しているのはほぼ確実だ。最も暴力的で情け容赦ない連中だ。この二体を農場に連れ戻れば、おまえのおじ夫婦はとても危険な状況にさらされる可能性は高い。 ルーク:え、ええ。僕、僕もそう思う。 ベン:よろしい、わかってくれると思ったよ。(間を置き)何だ?あの、南の方角に?煙だ!何か大きなものが燃えている! ルーク:何?どこ?何も見えな・・・うん!あれか!ずいぶん目がいいんだね。こんな・・・いや、その・・・ ベン:・・・老人にしては、か?見る力は心の中にあるのだ、ルーク、目ではない。あれが何か調べてみたほうがいいだろう。 ルーク:R2、3PO、つかまれ! R2:ピーピー音を出す。 サウンド:スピーダーの速さが増し、静かに消えていく。入れ替わりに! サウンド:パチパチいう火と風の音。 ルーク:ジャワのサンドクローラーだ!すごいな、正確に打ち抜かれている!どこもかしこも死んだジャワだらけだ! 3PO:何と、あのR2と私を捕らえた実に不快な生物ではありませんか。 R2:同意の音を発する。 ルーク:サンドピープルにちがいない。嫌な予感がするよ・・・ここから立ち去ったほうがいい。 ベン:いや、こんな仕業をしたやつが誰だとしてもこの付近にはもうおらんよ、ルーク。ジャワの中にはまだ息のある者もいるだろう。スピーダーを止めて、彼らを助けるとしよう。 ルーク:じゃあ・・・ ベン:おいで。見なさい。 ルーク:うっ、この煙はすごい臭いだ!(咳き込みながら)・・・火をつけたばかりだ・・・ ベン:おまえの顔を布で覆いなさい・・・足しになるだろう。 ルーク:ううん、大丈夫。 3PO:R2と私も手伝いますが? ベン:そう。助けが必要だ。(間を置いて)ここのジャワたちは全員死んでいる。誰か生き残りを見かけたか、ルーク? ルーク:(離れて)いいえ。誰だか知らないが、一人残らず息の根を止められてる。何人かは至近距離で二、三発撃たれている。 R2:(遠くで)ピーピー音を出す。 3PO:(遠くから)ご主人様、R2がサンドクローラーの中には生命反応はなしと報告しております。 ベン:かわいそうに。骨折って細々と暮らしている連中だ。こんなふうに残酷に殺されるようなことは何もしていないのに。3PO!R2!燃料を集めて火葬の準備だ! ルーク:(傍に寄りながら)だけどベン、時間がないよ!家に帰らなきゃ。 ベン:われわれはすごく急いでいるが、ジャワたちの死体が腐肉を食らう生物の餌食になるのは忍びない。そうだろう?そんなに時間はかからないさ。 ルーク:そういうのなら。見て、エンジンが爆発した時に胴体の部分が吹き飛ばされてる?とてつもない戦闘だったんだよ。 ベン:このジャワたちでさえ勇ましい死を迎えられたのか。 ルーク:確かにサンドピープルの仕業に見える。ほら、ガッフィの杖とそこら中にバンサの足跡だ。ただ・・・ジャワのサンドクローラーみたいに大きいものを襲ったって話は一度も聞いたことがない。 ベン:彼らではない、彼らの仕業だと思わせたのだ。ここにあるバンサの跡は並んでいる、わかるか?しかしサンドピープルは常に一列で乗るのだよ、人数を隠すために・・・ ルーク:ベン、これは3POとR2をオーウェンおじさんに売ったジャワたちと同じだ・・・ ベン:そしてこのブラスターがジャワやサンドクローラーに当たっている位置は・・・サンドピープルにしては正確すぎる。これほど正確に狙い撃ちできるのは帝国のストームトルーパーだけだ。 ルーク:ストームトルーパー?なんで帝国のストームトルーパーがジャワたちを殺戮するんだい?その理由は−ドロイドたちだ!もしR2と3POがこのサンドクローラーにいたことがわかったとしたら、ジャワたちが誰に売ったかも聞きだしたにちがいない!そしたらやつらは・・・家だ! サウンド:ルークはスピーダーに乗り込み発進させる。 ベン:待て!危険すぎる!ルーク!戻れ!ルーク! サウンド:彼の言葉がエンジンによってかき消される。エンジンの音が消えていく。 ベン:ため息をつく。 3PO:(近づいて来て)ご主人様、火葬の用意ができました。 ベン:(疲れたように)よろしい、ジャワたちをできるだけ手あつく葬ってやろう・・・せめてそれくらいはな。 3PO:ルーク様はどちらへ? ベン:私には言えん。フォースによって決断されるきわめて多くの事柄と結びついているのだ。おいで、できる限り急いでこれを終えるのだ。 音楽:盛り上がる。 サウンド:パチパチという火と風。 3PO:ご主人様!ルーク様です。彼が・・・ ベン:ああ、わかってる。(優しく呼びかけながら)ルーク!大丈夫か? ルーク:(遠くから、ゆっくりと進みながら。物静かでほとんど単調に)農場−何キロも前から煙が見えた。何もかも引き出され燃えていた。オーウェンおじさんとベルーおばさんを呼んだけど、答えはなかった。それから見えたんだ・・・玄関口のそばで・・・ ベン:落ち着くのだ、ルーク、落ち看きなさい。 ルーク:ほとんど何も残ってなかった!ああ、ベン、彼らは人間の形さえ留めてなかったよ!二人は僕のすべてだった、唯一の家族だったのに!彼らが僕を必要としてた時に僕はいなかったんだ! ベン:できることはなかったんだ、ルーク。もしそこにいたら同様に殺されていただろう。それにドロイドも今頃帝国の手の中だ。 ルーク:(間をおいて)一緒にオルデランに行きたい。もうここには何もない。フォースを学んで父みたいなジェダイになりたい。 ベン:こういう形で決心が決まるとは残念だよ。たとえ一人で行くことになっても、こんなことが起こらないほうがよかった。だが、もしそれが望みなら、ルーク・・・よろしい、オルデランへ、そしてジェダイ・ナイトの道へ進もう。 音楽:音楽が入る。 |
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