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X-WING
Keyan Farlander's Story #1

The Sentence

年 代 出 来 事 場 面 参 考
 裁判などはなく、訴える余地もなく、住民への宣告を読み上げる帝国軍司令官の声だけが響きわたっていた...
 「ラハーラ(Lahara)宙域、惑星アガマー(Agamar)のトンダーサ(Tondatha)住民に告ぐ...お前達が帝国および偉大なるパルパティーン皇帝(Emperor Palpatine)に対し治安妨害を画策していることが発覚した。お前達の処罰はただちに実行される。」
 続いて、軌道から発射された震盪ミサイルの鋭い音が辺りに鳴り響いた。爆発音とともに激しいうねりが地面を揺るがす。そして、重ブラスター弾が屋根を貫き友達や家族を焼き尽くした...
 俺は街が完全に破壊された日のことを考えまいとした...俺が信じていた人間性や銀河の秩序が全て覆された日のことを。両親が死んだその日、俺は心の底から反逆者となった。
 本当に、俺の両親はそんな目に遭うような同盟軍の協力者だったのか?あんな小さな田舎町の誰かが、情け容赦のない処罰をされるような大罪を犯したのだろうか?そんなはずはなかった。あり得ないことだ。
 あの忌むべき日、俺は“大都市”と呼ばれていたキャルナ・ムン(Calna Muun)へ帰る途中だった。丁度親父の使いっ走りをして、パインカ樹の小さな森の中で寄り道をしていた。俺は、全開にしたT-16ランドスピーダーで木立ちの中をジグザグに突っ走るのが好きだった。
 遠く、大気圏から帝国の攻撃艇が降下してくるのが見えた。あんなばかでかいものをアガマーで見たことなどなかった。その姿に俺は不吉な予感がした。家路を急ぐ俺のスピーダーはオーバーヒート寸前だった。
 帝国軍の艦艇は、俺と平行にゆっくりとだが確実にトンダーサの方へ向かっているようだった。俺の胃はでんぐり返り、頭はがんがん鳴っていた。帝国軍攻撃艇の巡視...ただごとであるはずがなかった。
 銀河の果てにある遙か遠くの惑星の若者からすれば、俺は帝国へ忠誠を誓っているようなものだった。少なくとも無関心じゃなかった。少なくとも文句など言ったことはないし、帝国を帝国として受け入れていた。皇帝が銀河を支配していることなど、俺や俺の毎日の生活に関係などなかった。
 全ての政治的なことは、人口が密集した中心部の惑星系での出来事だった。ここは辺境だし、俺達は農夫に、商人、それに職人だ。政府の高官はおろか、帝国軍の訪問を受けることなどあり得るはずがなかった。
 一度だけ、俺が5歳か6歳のころ、帝国軍の戦艦の小艦隊がこの宙域に来たことがある。そして、2,3機の降下艇がトンダーサの上を飛んでいった。俺は不思議な気持ちと畏敬の念でそれを見ていた。それから数週間、帝国宙軍の操縦士になって見知らぬ遠くの世界へ行くんだと、友人達と語りあっていたものだ。
 それなのになぜ...恐怖におののきながら攻撃艇を見なければいけないのだ。
 トンダーサに着いたときには、その大型艇は頭上にいた。俺はスピーダーを旋回させ、家に向かって通りを駆け抜けた。帝国軍艦艇が陽の光を遮り、不自然な暗さに包まれていた。つい先ほど限界性能をテストしたばかりのランドスピーダーで人気の絶えた通りを進む。俺の後ろで塵が舞い上がり、雲や小さな渦巻きとなって拡がっていった。
 俺が家に着いた丁度その時、帝国軍司令官の宣告を読み上げる声が聞こえてきた。そして、耳を聾するミサイルの衝撃音に混じって、重ブラスター独特の音が聞こえる。俺は玄関を押し開けると、両親と妹を大声で呼んだ。
 答えはなかった、答える時間さえなかった。ブラスター弾が台所を焼き払うと同時に屋根が崩れ、家は熱と破片の嵐となって崩壊した。床に投げ出された俺は、ほとんどなにも見えず、煙と埃を吸い込んでせき込んだ。俺は巻き上がる炎の中を這い、家族を呼び続けた。重い何かが落ちてきて、俺は死んだと思った。
Agamar X-Wing
Collector's CD-ROM
The Official Strategy Guide
P.5-7
NEXT : Soldier for the Empire #1 Sulon

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Last Update 08/Nov/1999