前に戻る

位置を確認する

次に進む

反乱の夜明け #6
さらば、ナー・シャッダ

年 代 出 来 事 場 面 参 考



反乱の夜明け
P.116 - P.124
 翌週、サラ・ゼンドはずっと静かだった−静かすぎてハンは心配したくらいだ。こんな彼女は見たことがなかった。ハンは密輸品を運ぶ仕事に何回か誘ったが、そのたびに断わられた。だが、彼女の助けが必要だと言ったのは冗談ではなかった。ジャリクは最近、ナー・シャッダのコレリアン街区に恋人ができ、あいている時間のほとんどを彼女と過ごしていたし、シャグにも雇われている。優れたメカニックであるシャグは、デシリジクから密輸船のハイパードライブの改良を請け負ったからだ。これはたいへんな仕事で、シャグは手に入る助けをすべて必要としていた。
 サラは毎日シャグのスペースバーンで過ごすようになり、ハイパードライブの改良も手伝っていた。だがハンが仕事から戻ると、彼女はいつも笑って出迎え、愛情のこもったキスをした。ハンに対する彼女の態度は・・・どこか・・・これまでとは違っていた。彼女は彼をまるで・・・評価するかのような目で見ていた。これはハンを落ち着かない気分にさせた。
 おまけに何と、彼に料理を教えてくれと頼んできた!デュランナに育てられたハンは、かなり料理がうまい。自分ひとりのときは作らないが、ほとんど毎晩サラと一緒だったから、食事を作るのはハンの係になっていた。
 ところが突然、サラは料理の仕方を教えてくれと言いはじめた。なぜかハンはいやな予感がした。理由はわからないが−結局、料理を覚えるなんてたいしたことじゃない、違うか?−不安を感じた。
 彼は簡単なことから教えはじめた・・・朝食、シチュー、スープ、それからチューバー付きのトララドンの網焼きステーキや熱いソープでソテーした刻んだイマッシュ=ルーツ、森の蜜をかけたウーキーのフラット・ビスケットなどのメニューへと進んだ。
 サラは綿密な注意を払い、故障した起動マトリックスを分解し、また組み立てるような真剣さで料理に取り組んだ。だが、彼女が熱心になればなるほど、ハンはますます不安になった。
 どういうつもりか訊こうと思ったが、詮索はしたくなかった。サラは船を失ったばかりなのだ。これはとっぴな行動をとる充分な理由になる、彼はそう自分に言い聞かせた。
 ある夜、彼女がひとりで作った初めての料理を出されたとき、ハンは少し焦げたラドネク・テールと、ゴムのようなマーシュ=ルート・スフレの最後のひと口を噛みおわって呑みこむと、にっこり笑った。「おいしいよ、サラ。この調子なら、すぐに美食家のコックになれる!」
 「ほんと?」彼女は満足しているように見えた。
 「もちろん」彼は嘘をついた。もしなれるとしても、まだまだ先の話だ。
 「ハン・・・ずっと言おうと思ってたことがあるの。すごく大切なことよ」
 “おっと、きたぞ”彼は恐怖を感じながら思った。「何だい?」
 「ずっとプランを立ててたの。思ってたほど高くないのよ、とくに会場はね。あたしも少しは蓄えがあるし。あんたがサバックで手に入れたクレジットの残りを足せば間に合うわ。仕出し屋に話したら−」
 「サラ、いったい何のことだ?」ハンはすっかり混乱して口をはさんだ。
 「あたしたちの結婚式よ。あんたがどういう意味であたしを必要としてるのか、ずっと考えてたの。あんたの言うとおりよ。あたしたちはおたがいが必要だわ。思いきって一緒に人生を歩むときが来たのよ、ハン。ロアとルウィルみたいに。彼らの結婚式がどんなに素敵だったか覚えてるでしょ?あたしたちもあれと同じくらい素敵な式ができるわ。ふたりのために式は挙げるべきだと思うの。友だちを全部呼びましょうよ」
 ハンはものも言えないほど驚いて、彼女を見つめた。“気は確かか?”そう叫びたい衝動に駆られたが、一〇秒数えた。ひょっとするとサラは病気かもしれない。何せ頭を強打したのだ。彼は不安になり、ようやくこう言った。「なあ、サラ、それは時期尚早だと思うな」
 彼女はくすくす笑った。「そう言うと思ったわ、ハン。まったく、男ったら!自分の感情を認めたがらないんだから!本物の家族を持った、ロアとチューイーがちょっぴり羨ましいって、言ってたじゃないの」
 たしかにそれらしきことは言ったが、まさかこんなふうに解釈されるとは思ってもいなかった。彼は首を振った。「サラ、ハニー、よく話しあったほうがいいと思う。このことをまだ誰にも言ってないんだろ?それとも実際に具体的なプランを立てたのか?」
 「そうね・・・ほんの二、三人には言ったわ。シャグでしよ、それにマコとランドとジャリク。式場の予約料も払ったわ」
 “マコだと!”ハンは心の中でうめいた。帝国アカデミー時代のあの旧友は、にやにやしてナー・シャッダのみんなに、このニュースをふれまわるにきまってる。“ジャリク、どうしておれに教えてくれなかったんだ?”ハンは恨みがましい気持ちでそう思った。だが、あの若者は可愛い彼女に夢中で、たぶんサラの言葉などまともに聞いていなかったのだろう。
 「サラ。きみらしくないぞ。おれたちはこれまで、約束も誓約もしなかった。その、いつかはそうなるかもしれないが・・・しかし・・・」
 彼女はまたしても微笑んだ−ハンはそれを見て、食肉市場に引かれていくトララドンの気持ちがわかるような気がした。すべてを心得ているという微笑みは、裏を返せばこっちの言葉を何も聞いていないということだ。何とか彼女を傷つけずに自分の気持ちを伝えようと、ハンはテーブル越しに彼女の手を取った。「サラ、ハニー・・・おれたちは“愛”という言葉も口にしたことがない。これは残りの人生をおれと過ごしたいほど、おれのことを愛してるっていうことかい?」
 彼女は琥珀色の目をわずかに動かし、それから頷いた。「自分の望みはわかってるわ、ハン。あなたと一緒に暮らす。あたしたちはスパイス輸送で命を危険にさらすのをやめる。ロアとルウィルみたいに一緒にここを出て、新しい人生を始めるの。立派な人生をね。そしてたぶん、いつか子供を生む」
 「でも、おれを愛してるのか?」彼は彼女の目を見つめて尋ねた。
 「ええ・・・もちろんよ、ハン。わかってるくせに」
 “いや、わからないな”ハンは皮肉たっぷりに思った。彼は彼女の目がわずかに動いたのを見逃さなかった。たしかにサラはおれが好きだ。おれのことを気にかけている。ベッドでも情熱的だ。だが、愛してるか?
 「とにかく、これが正しい決断よ、ハン。あたしたちは幸せになるの。いままでで最高の結婚式になるわ。そのあとに盛大なパーティを開きましょうよ」
 あなたはわたしを愛してる?サラはそう訊こうとはしなかった。“彼女はその答えを知りたくないのだと”彼は気づいた。
 一瞬彼は、もう少しで“サラ、きみを愛してないんだ。結婚したくない”と言いそうになった。だが、どうにかその言葉を押し留めた。彼女とは別れたくない。だが、そう言ってしまえば別れることになる。
 チューイーに相談してみよう。それにランドにも。サラがすでにしゃべっているのだ。隠しておく必要はない。彼女を失わず、結婚に“ノー”と言うにはどうすればいいか、あのふたりなら何かいい知恵があるかもしれない。
 ハンはサラを失いたくなかったが、彼女と結婚する気はなかった。快速の<ファルコン>が彼のものとなり、密輸業のトップにいるいまは、とくにそんな気持ちにはなれない!彼には行く場所があり、やる仕事があり、運ぶ積み荷がある。それにもっと楽しみたかった。だが、結婚すれば、お楽しみは終わりだ。コレリア人に言わせれば、結婚するのは終わりのないインプの特別任務につくのと同じようなものだった。ケッセルのスパイス鉱山に送られる判決を受けるのと同じことだ!
 次の日、物を持ち上げてはまた同じ場所に戻しながらあちこち移動しているジージーのそばで、ハンはチューイーにすべてを話して聞かせた。チューイーは首を振りながら唸り、それからうめいた。「まるでウィニみたいだと?そいつはどういう意味だ?ウィニは会うたびにおまえにさわり、誘惑しようとしてる。サラはそんなんじゃないぞ。ただ結婚したいだけだ」
 チューバッカは自分の言葉を説明した。サラはハンが彼女を欲しいかどうか訊かず、欲しがるのが当然だと決めてかかり、自分のやりたいようにしている、そこがウィニと似ている、と。結婚はどちらの側にも同じ発言権がなくてはならない。ウーキーはこう指摘した。ときには片方がもう片方の望みにしぶしぶ従うこともあるかもしれないが、どちらか一方が何が最良か決めてかかるのは間違いだし、相手の分まで決断を下すべきではない。
 ハンは眉を寄せた。「ああ、なるほど」彼はつぶやいた。「サラはおれの意思を訊いてない、ただ結婚するのが当然だと思ってる」彼は悲しそうに首を振った。今日はドレスを買いにいってるよ。おれがコレリア人だから、伝統的なコレリアの結婚式がしたいんだとさ。つまり、緑のドレスがいるってわけだ」
 チューイーは首を振って、男を勝ちとるべき賞品だとみなしているあらゆる種族の女性について熱弁をふるった。彼の姉のカラボウは、マラッコルと結婚しようと思ったとき、同じような決意をした。ただ、カラボウはサラよりも賢くやってのけた。結婚するまでに、彼がカラボウを愛していることに気づかせるチャンスをたくさん与えた。いま、彼らはとても幸せだ。
 「だが、それはおれには起こりそうもないな、パル」ハンは口もとを歪めた。「おれはだんだん腹が立ってきてる。彼女はおれの望みなんて気にしちゃいない。知りたくもないんだ。そんな女に、誰が惚れる?結婚したくなる?」
 チューイーは声高に同意した。
 次の夜、ハンはナー・シャッダの大カジノの煙にかすむバーで、ランドと話した。ランドはハンがそのことを持ちだしたとたんに首を振った。「ハン・・・ハン・・・サラは死ぬほど真剣だよ。その話を聞いたとき、おれは笑いだしちまったんだ。おたくのことはよく知ってるからな!そして殴られそうになった」
 「ああ、サラは真剣だ」ハンは陰気な声で言った。「くそ、ランド、おれは彼女と結婚したくないんだ。誰とも結婚したくない!もしかしたら一生な!ひとりでいるほうが気が楽だし、したいことを、したいときに、したい相手とできるのが気に入ってるんだ!」
 「落ち着けよ、パル」ランドはたしなめた。ハンは自分が大声でわめき、ほかの客の注目を浴びているのに気づき、急いでオルデラニアン・エールをごくりと飲んだ。
 「なあ、それを彼女に伝えようとしたのか?」ランドは尋ねた。
 「ああ、二度ほどな。だが、彼女は相手にしないんだ。おれが“サラ、これはいい考えじゃない。考える時間をくれ”とか“サラ、いまは結婚に興味がないんだ”と言っても、まるで耳を貸そうとしない」
 「で、何て言うんだ?」
 「軽くいなしちまうのさ。“心配しないで、ハン。男はみんなそう感じるのよ。結婚前に不安になるのは、よくあることだわ”とか」
 ランドは髭が震えるほど大きなため息をついた。「そいつは気の毒に。まるでおたくと結婚して落ち着くのが、自分の過ちを修正する格好の方法だと思ってるみたいだな。船は失ったが、代わりに夫をつかむってわけだ」
 「おまけにこの仕事をやめて、ナー・シャッダを出ていくことを望んでる。ロアとルウィルみたいに、新しい人生を始めたいそうだ。もう密輸はしないんだと」
 ランドは身震いした。「立派な仕事か?最悪だな!」彼はほとんど本気でそう言った。
 ハンはエールのジョッキをからにし、手の甲で口を拭った。「ランド、どうしたらいい?彼女とは結婚しない。こいつは確かだ。でも、彼女が耳を傾けざるを得ないような言い方はできない」
 ランドは眉をひそめた。「難しいな。いまの話じゃ、サラは傷つけてくれと言ってるようなもんだと思うが。ハン・・・ぐずぐずしてる時間はないぞ。彼女は来週中に結婚式を挙げると言ってた」
 ハンはぱっと背筋を伸ばした。来週だって?何てこった・・・ランド、まさか!」
 ランドは頷いた。「ちゃんと言う必要があるな、ハン」
 「だが、聞こうとしないんだ!」
 「ほかに何ができる?」
 ハンは顔をこわばらせた。「ここを離れる。ああ、そうするよ。コーポレート・セクターに行って、ドクという男を探そうと思ってたところだ。宇宙船の技術者だそうだ。ちょうどいい」
 「コーポレート・セクターはかなり遠いぞ」
 「ああ。そしてサラには船がない。だから追いかけてくる心配もない。それに、何も言わずにいなくなれば、おれの気持ちはどんなメッセージよりはっきり伝わるはずだ。早速発つよ、ランド。明日にでも」
 「そんなに早くか?」ランドは驚いた。「なぜそんなに急ぐ?」
 「ぐずぐずしてても仕方がない。明日の朝ジャバに会って、しばらくここを離れる、いつ帰るかわからない、と告げるよ。それに・・・」彼はため息をついた。「サラが心配なんだ。実現しない結婚式に、クレジットを使ってほしくない。早く行けばいくほど、彼女は無駄な金を使わずに済む」
 「怒るだろうな」ランドは言った。
 「ああ」ハンはそっけなく言った。「おれだって、こんな終わり方を望んだわけじゃない。サラはあんな頑固にならず、少しはおれに敬意を払うべきだったんだ。べつの方法があるなら、そうするさ。だが、ほかには何も思いつかない。おれが何をしようと、言おうと、結局サラは傷つくんだ」
 「彼女の願いを受け入れて、結婚することもできるぞ」ランドはおかしそうに片方の眉を上げた。
 ハンは首を振った。「ランド、ジャバにキスしたほうがまだましさ」
 ランドは吹きだし、あまりにも大笑いして、バーのスツールから転げ落ちそうになった。
 「縛られるのはまっぴらだ」ハンは険しい顔で言った。「サラは立ち直るさ。ああ、怒るだろうし、二度と口をきいてくれないかもしれない。それは残念だが、ここに留まるほどじゃない。留まるぐらいなら、モーでマイクロジャンプするよ」
 ランドは肩をすくめ、片手を差しだした。「寂しくなるな」
 ハンはその手を握りながら提案した。「一緒に来ないか。チューイーとおれには人手が必要だ」
 「ジャリクはどうするんだ?」
 ハンは片手を振った。「キッドは来ないさ。シャグのほうがおれよりいい金を払ってるし、恋人に夢中でまともに考えられないんだ。長い旅をする気になるなんて、ありえないね」
 「そうだな」ランドは言った。「初恋か・・・いいなあ、おい?」
 ハンは目玉をくるりと回し、それからふたりで一緒に笑った。
 「で・・・来るかい?」
 「いや、中古船の店を見なきゃならんのだ。ロアがいなくなってから、なかなかまともなマネージャーが見つからなくてな。このまえのやつなんか、上前をはねてやがった」
 「そいつはひどい」ハンは首を振った。「寂しくなるよ、ランド。背中に気をつけろよ」
 「おたくもな」


反乱の夜明け
P.116 - P.124
 ハンはサラと最後の夜を過ごしたが、彼女は自分のプランにすっかり夢中で、彼がむっつりと黙りこんでいるのにも気づかなかった。
 寝る前に、ハンは彼女を見て言った。「サラ・・・全部プランニングする前に、おれの気持ちを訊いてほしかったよ。おれは結婚には向いてない男なんだ」
 彼女は笑った。「男はみんなそう思うものよ、ハン・・・結婚するまではね。ロアを覚えてるでしょ?彼は絶対結婚しないと言い続けたわ。でも、結婚したら誰よりも幸せになった。男ってそういうものなのよ」
 「おれは違う」ハンはそう言ったが、サラは笑っただけだった。
 翌朝、ハンは自分のアパートに寄り、ジージーに言って古いバックパックに服を詰めさせた(これはたいして時間はかからなかった。昔からハンの手持ちはそれほど多くないのだ)。それから彼とチューイーは、ナー・シャッダの高層ビルの屋上にある、<ミレニアム・ファルコン>のランディング・パッドに向かった。
 ジャリクが彼らを見送りに来た。ハンはランドとジャリク以外の誰にも、出発のことは告げていなかった。ジャリクは片手を差しだし、ハンがそれを握ると、出し抜けにしゃべりだした。「おれも行けたらな!金持ちになって返ってこいよ、ハン!チューイー、ハンの面倒をみてくれよ、いいな?」
 ハンはジャリクの肩に腕を回し、ふざけて彼を揺すぶった。チューイーがウーキー流に頭を撫でると、彼は悲鳴をあげた。「元気でな、ジャリク」ハンが言った。「ジージーにいらいらするなよ。あいつはほっとけ、キッド。それから・・・いいか、楽しくやれ。だがこれを忘れるな。おれが結婚するには若すぎるとしたら、おまえは間違いなく若すぎるぞ!」
 ジャリクは笑った。「覚えとくよ、ハン!」
 「じゃあ、またな、キッド。気楽にやれよ」
 数分後、ナー・シャッダをあとにしたハンは、コム・システムのホロ・メッセージ・キーを叩き、サラの名前とコードを入れ、メッセージ・セントラルに二時間後に送ってくれと指示した。そのころには、かなり遠くに行っているだろう。
 “記録準備完了”の表示が出ると、ハンはぎこちなく咳払いした。「やあ、サラ。こんなふうになってすまないが、きみがこれを受けとるころには、チューイーとおれはいなくなってる。話そうとしたが、きみは聞いてくれなかった」
 ハンはためらい、深く息を吸いこんだ。「サラ、きみは素晴らしい女性だが、おれはまだ結婚する気になれないんだ−誰とも。きみがいやだってわけじゃない、わかったかい?おたがい冷却期間をおく必要があると思う。いつかは戻る。あまり怒らないようにしてくれ、サラ。こうするしかないんだ。体に気をつけてな。おれの代わりに、シャグとマコにさよならを言っといてくれ」
 チューバッカが短くぶつぶつ言い、ハンは通訳した。「ああ、それからチューイーもさよならって言ってる。元気でな。楽しくやってくれ」
 彼は手を伸ばし、“送信”ボタンを押して、どさりと椅子にもたれた。「ヒュー!これは密輸の仕事より疲れるな、パル」
 チューバッカは、この種のことは決して簡単にはいかないと同意した。
 ハンは頷いた。「そうだな、パル。結婚といえば、コーポレート・セクターに行く前に、マーラトバックと二度目のハネムーンってのはどうだ。キャッシークに針路を取れよ」
 チューバッカが青い目を輝かせるのを見て、ハンはにやっと笑った。「<ファルコン>にはカターラが気に入ってくれた爆矢を積んでるしな。コーポレート・セクターじゃ、シーキアン・ブランデーがいい値で売れるかもしれん。キャッシーク経由コーポレート・セクター行きでいいか?」
 チューバッカはこの提案に、ハンの耳ががんがんするほど大声で同意した。
 まもなく<ファルコン>は、長い旅に向け、最初のハイパースペースを航行する長方形の線となった。


反乱の夜明け
P.116 - P.124
NEXT : ハットの正義と反乱軍の報復

前に戻る

位置を確認する

次に進む

Last Update 01/Jul/1999