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バクラの休戦 #1
無人機のメッセージ

年 代 出 来 事 場 面 参 考

死んだような惑星の上には、雲のかかったトルコ石のような衛星が昇っていた。星の軌道を保っ鎖をつかんでいる永遠をつかさどる手が、ビロードの垂れ幕にまばゆい星々を散らし、スペースタイムのひだの上で躍る宇宙のエネルギーは、帝国にも反乱同盟軍にも、彼らの短い、ちっぽけな戦いに気づきもしなければ関心も示さず、永遠の歌を歌っていた。
しかし、その小さな世界に目を転じれば、この衛星の大気圏のすぐ外側の軌道をまわっている宇宙艦隊が見える。船腹の煤けた艦もあれば、リペア・ドロイドの群がる艦もある。宇宙艇には欠かせない金属の破片、そして人間や異星人の遺体も、こうした艦とともに周囲をまわっている。パルパティーン皇帝の第二デス・スターとの死力を尽くした戦闘は、反乱同盟軍に多大な損害をもたらしていた。
ルーク・スカイウォーカーは、そうしたクルーザーの一隻のランディング・ベイを、足早に横切っていた。疲れた目は充血しているが、イウォークたちと勝利を祝ったあとの快い余韻が残っている。ひとかたまりのドロイドの横を通りすぎると、冷却液と潤滑油のにおいがつんと鼻をついた。
彼は疲れていた。まさに人生でいちばん長い一日を終えたいま、体じゅうにまるで骨を噛まれるような鈍い痛みを感じる。今日−いや、もう昨日だが−彼は皇帝に相対した。そして、危うく命を落としかけながらも、父を信じとおしたのだった。だがイウォークの村からこのクルーザーに来るシャトルに乗りあわせた男から、もうこんな質問を受けていた。
ほんとにたった一人で皇帝もダース・ヴェイダーもやっつけたんですか?
“ダース・ヴェイダー”は、実は父のアナキン・スカイウォーカーだったと告げる覚悟こそ、まだできていなかったが、それでもルークはきっぱりこう答えた。
ホーム・ワン
Home One
小説 上 P.8-12

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ルーク・スカイウォーカー(Luke Skywalker)「皇帝を殺したのはヴェイダーなんだ」

そうとも、皇帝を第二デス・スターのコアに投げこんだのは、ダース・ヴェイダーだ。おそらくこれから何週間も、同じ説明を繰り返すことになるだろう。だがいまのところは、自分のXウイング・ファイターの様子を知りたいだけだ。
驚いたことに、彼の愛機には乗員が群がっていた。その向こう側では、マグナ・クレーンがコクピットの後ろに備えつけた円筒状のドロイド・ソケットに、R2−D2を降ろしている。ルークは足をとめ、はずむ息を整えながら尋ねた。

ルーク「何かあったのか?」
乗員「あっ、中佐。リリーフ・パイロットが発進するんです。アンティリーズ隊長は最初のシャトルで戻ってくるとすぐにパトロールに出て、帝国軍のドローン・シップ(無人機)を発見したんです。クローン大戦のまえに、伝令機として使われてた恐ろしく時代がかった代物が、ディープスペースから入ってきたんだそうです」

カーキ色の軍服を着た乗員は、組み立て式の燃料ホースを分解しながら答えた。入ってきた?すると誰かが何か皇帝に頼んできたのか?

ルーク「その送り主は、どうやら最新のニュースにうといようだな。ウェッジは一人じゃ寂しいって言ってるのかい?これが飛ばせないほど疲れてるわけじゃない。俺が行ってもいいよ」

ルークはにやっと笑った。しかし乗員は微笑み返してはこなかった。

乗員「運の悪いことに、アンティリーズ隊長は、メッセージ・コードを解除しようとして、自爆サイクルのスイッチを入れてしまったんです。いまは手を使ってその装置の接触をくいとめて−」
ルーク「リリーフ・パイロットはキャンセルしろ」

ルークは叫んだ。ウェッジ・アンティリーズは大事な友だちだ。初代デス・スターを相手に一緒に戦い、最後の攻撃を仕掛けて以来の仲だった。ルークは乗員の返事を待たずに、急いできびすを返し、待機室に走った。そして一分後には駆け戻り、オレンジ色のプレッシャー・スーツに片脚を突っこんでいた。乗員が散る。ルークはステップを駆けあがり、クッションのきいた斜めの操縦席におさまった。ヘルメットを引きおろし、フュージョン・ジェネレーターのスイッチを入れたとたん、聞き慣れたかん高い唸りが始まり、急速にコクピットを満たした。さきほどの乗員が、後ろから上がってきた。

乗員「でも、中佐。アクバー提督が報告を聞きたがっておいででしたが」
ルーク「すぐに戻る」

ルークはコクピットのキャノピーを閉め、記録破りのスピードでシステムと機器類の点検をすませた。よし、すべて良好だ。彼はコムリンクのスイッチを入れた。

ルーク「ローグ・リーダー、テイクオフ準備完了」
乗員「ハッチを開けます」

ルークはドライブのボタンを押した。その直後、これまでの鈍痛がのこぎりで切られるような激痛に変わった。星が二重に見え、ぐるぐるまわりだす。乗員の声が耳の中で唸る。ルークは襲ってくるめまいと闘いながら、かつてマスター・ヨーダが教えてくれたように、心の底に潜む静けさに見えない手を伸ばし・・・探って・・・見つけた。彼は震える息を吐きだすと、どの程度、痛みを抑えられるか測った。二重に見えた星が、再び一つに戻っていく。どうしてものが二つに見えるのか、それを突きとめるのはあとまわしだ。

フォースを通して、ウェッジを見つけた。コントロールに置いた両手がほとんど勝手に動き、Xウイングは艦隊の最後尾に機首を向けた。途中、戦闘の壮絶さを物語る味方のダメージが目についた。それぞれのまわりに、おびただしい数のリペア・ドロイドと大型の曳航船が群がっている。だが、大型艦艇の数はもっと多かったような気がする。モン・カラマリ・クルーザーは少しぐらいの直撃にはびくともしないほど頑丈にできているはずだが・・・そういえば、皇帝の玉座の部屋では、自分の命を守り、父親を改心させるために闘うのに精一杯で、臓腑をよじられるような同胞の死を感じるゆとりすらなかった。これが闘いに慣れ、味方の死に心が麻痺してしまった証拠でなければいいが。

ルーク「ウェッジ、聞こえるか?」

ルークはサブスペース無線を使って呼びかけながら、大型艦のあいだから外へと針路をとる。スキャナーを見ると、いちばん近いヘビー・トランスポートから、それよりずっと小さなファイターがじりじり離れていく。四機のAウイングがルークの後ろについた。

ルーク「ウェッジ、そこにいるのか?」
エンドア軌道
Endor orbit
小説 上 P.12-18

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ウェッジ・アンティリーズ(Wedge Antilles)「「悪いな・・・この機の送信レンジはこれでぎりぎりってとこだ。実は、俺は・・・この二つのいまいましいクリスタルを、何としても離しておく必要がある。自爆装置の一種らしいんでな」」
ルーク「クリスタルだって?」

ルークはウェッジにしゃべらせておくために尋ねた。ウェッジは苦痛に満ちた声で答えた。

ウェッジ「「電気仕掛けのクリスタル・リードだ。古き優雅な時代の名残りさ。クリスタルどうしが急速に接近し、くっつこうとしてる。少しでもふれたが最後・・・ドカンとフュージョン・エンジンが爆発するって寸法さ」」

エンドアの青い輝きの上をゆっくりとまわっていくうちに、ようやくウェッジのXウイングが視界に入った。その横を帝国軍のマーク入りの長さ約九メートルのシリンダーが漂っていく。大きさはほとんどXウイングと同じ、しかもその大部分がエンジンだ。同盟軍にはこの長さのドローン・シップはない。



なぜかわからないが、ルークはこのドローンから不気味なオーラを感じた。だが帝国はこんな古い型はもう使っていなかったはずだ。それにしても、この送り主はなぜごくあたりまえの伝達手段−帝国軍の標準チャンネルでコード・メッセージを送る−が使えなかったのか?ルークは低く口笛を吹いた。なるほど、ウェッジが艦隊から離れていくのは、そういうわけか。

ルーク「そうだな。こんなばかでかいエンジンが爆発したら、それこそたいへんだ」
ウェッジ「「だろう?」」

プレッシャー・スーツのウェッジは、ライフ・サポートの鎖一本でXウイングにつながり、シリンダーの端にしがみついている。おそらく誤まって自爆装置を作動させてしまったと気づいた直後に、コクピットの空気を失うのもかまわず、シリンダーのマスター・コントロールに飛びついたにちがいない。宇宙空間では、パイロット用の軽プレッシャー・スーツと、顔を密封する非常へルメットだけでは、長くても数分しかもたない。

ルーク「ウェッジ、どれくらいそうしてるんだい?」
ウェッジ「「さあな。でもいいんだ。ビューは最高だぜ」」

ルークはさらに近づき、慎重にリバースに切り替えた。ウェッジはヒンジでつながったパネルの中に片手を差しこんだまま、こまめに噴射を調節しながらシリンダーに並びかけるXウイングの動きにつれて、頭を動かしている。



ウェッジ「「くそ、もう一本手があればな」」

ウェッジは軽い調子でそう言ったが、こわばった声からして、事態はそうとう切迫しているようだ。おそらく片手は半分つぶれてしまっているのだろう。

ウェッジ「「こんなところで何をしてる?」」
ルーク「きみと同じさ。ビューを楽しみにきたんだ」

ルークは与えられた選択肢を考慮した。Aウイングのパイロットは、ルークを信頼して速度を落とし、後ろに控えている。ルークは後ろのドロイドに声をかけた。

ルーク「R2。おまえの腕はどれくらい伸びる?ぎりぎりまで接近すれば、ウェッジに届くかい?」
R2-D2“だめです・・・いちばんいい角度でも二・七六メートルしか伸びません”

R2の答えは、即座にHUD(ヘッド・アップ・ディスプレイ)に表示された。ルークは顔をしかめた。額に噴きでた汗の玉がしたたり落ちる。何かないか?小さくて固い、使い捨てられるものなら何でもいい。急がないとウェッジが危ない。フォースを送ると、ウェッジの意識はすでに揺らめきはじめている。ルークはちらっとライトセーバーを見下ろした。いや、だめだ、これは捨てられない。

ルーク“ウェッジの命を救うためでもか?”

それに、たぶん捨てないですむだろう。ルークはライトセーバーをつかむと、慎重に左手にあるフレアー・イジェクション・ポートの燃料チューブのなかをすべらせ、外に出した。一〇メートルの空間へと片手を伸ばし、ゆっくりとライトセ−バーをウェッジに近づける。そしてライトセーバーが標的に達すると、手首をひねった。すると緑白色の光刃が現れた。真空のせいでいつもの唸りは聞こえない。フェース・プレートのなかでウェッジが茶色い目を見開き、まばたきするのが見えた。

ルーク「おれが合図したら。そこから跳ぶんだ」
ウェッジ「「だめだ。指がちぎれちまう」」
ルーク「いいから思いきり跳ぶんだ。そのままそこにいたら、失うのは指どころじゃすまないぞ」
ウェッジ「「ジェダイの技で、少しばかり神経を麻痺させてくれないか。恐ろしく痛むんだ」」

ウェッジの声はさっきより弱っている。だが両膝を引きつけ、ジャンプの準備をするのが見えた。こんなときは、タトゥイーンにあつたオーウエン叔父さんの水分農場も、そんなに悪くなかった気がしてくる。

ルーク「ウェッジ、そのクリスタルを見せてくれ。じっくり見せてくれよ」
ウェッジ「「わ・・・かった」」

ウェッジは首をまわし、シリンダーのハッチウェイをのぞきこんだ。ルークはライトセーバーを漂うにまかせながら、ウェッジの好意的な存在を感じた。きっと拒まずに心のなかを・・・ルークはウェッジの手の猛烈な痛みと闘いながら、彼の目を通して一対の丸い多面体のクリスタルをかいま見た。一つはウェッジの手のひらのなか、もう一つはスプリング・メカニズムでウェッジの手の甲に押しつけられている。こぶし大のその石はセーバーのライトを淡い金色に反射して、ハッチの外にいるウェッジのオレンジ色のスーツに投影していた。
パイロットのグローブだけじゃ、あの二つの石を離しておくのは無理だろう。さもなきゃウェッジに、グローブを取れと言うだけですむんだが。少しぐらいなら、急激に減圧しても手足にはたいした損傷はないはずだ。ウェッジがジャンプすれば、少なくとも一つのクリスタルは切り離せる。ウェッジはすぐに気を失うだろうが、鎖でつながっているし、呼吸もできる。ただ大量の出血は覚悟しなくてはならない。ウェッジの目を通した光景の周囲がぼやけはじめた。ルークはウェッジの痛覚を軽くつまんだ。一度にやらねばならないことが多すぎる。そのうえルーク自身の苦痛ももうすぐこらえきれなくなりそうだ。彼は唸るように言った。

ルーク「オーケー」
ウェッジ「「何だ・・・?」」
ルーク「クリスタルが見えたってことさ。いいか、三つ数えたら跳ぶんだ。思いきり跳んでくれよ。一」

ウェッジは逆らわなかった。ルークは歯をくいしばり、ライトセーバーと調和した。ライトセーバーに気持ちを集中していれば、どうにか苦痛を抑えられそうだ。

ルーク「二」

ルークは同じ間隔で数えながら、宇宙の一部としてライトセーバーと、クリスタル、それに二つの意志のあいだの重要なギャップを捕らえた。

ルーク「三」

何も起こらない。

ルーク「ウェッジ、跳ぶんだ!」ルークは叫んだ。

ウェッジは力なくシリンダーから離れた。ライトセーバーを一振りすると、クリスタルの一つがハッチから吹っ飛んだ。無数の面が緑色の光を反射し、XウイングのSフォイルに渦まく万華鏡のようなまばゆい光が映った。耳もとでウェッジがつぶやいた。

ウェッジ「「おっと!お見事だな」」
ルーク「ウェッジ、こっちに来るんだ!」

だが応答がない。彼は右手をきつくつかんだまま、くるくるまわっている。ルークは唇を噛んだ。落ちてくるライトセーバーをつかんで輝く光刃を収める。ウェッジはXウイングのはるか上の、ぴんと張った鎖の先で手足をけいれんさせている。ルークは救難ビーコンを叩いた。

ルーク「ホーム・ワン、ローグ・リーダーだ。自爆装置は解除された。医務班をよこしてくれ。いますぐ頼む!」

危険ゾーン外で待機していたAウイングの後ろから、医療ランナーが飛びだしてきた。




ウェッジの体は、艦隊の透明なバクタ液のタンクのなかに直立に浮き、呼吸のたびに上下していた。ルークは彼の指が全部助かったと聞いて心からほっとした。外料ドロイドの2-1Bはコントロール・ボードを調節し、それから旋回してルークに向かいあい、関節がむき出しの細い腕を透明な腹部の前で振った。
ホーム・ワン
Home One
小説 上 P.18-20

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2-1B「さてと、中佐。そのスキャナーの後ろに立ってください」
ルーク「俺はどこも悪いところなんかないよ。疲れてるだけさ」

ルークはスツールに座ったまま、隔壁に寄りかかった。隣のR2が心配そうに鳴いた。

2-1B「どうぞ、中佐。すぐに終わりますから」

ルークはため息をもらし、足を引きずって背丈ほどの長方形のパネルの後ろにまわった。

ルーク「こうかい?」

彼はパネルの向こうから尋ねた。

ルーク「もう出てもいいかな?」
2-1B「あと一分で終わりますから」

ドロイドが答え、それからカチッという音がして、

2-1B「あと一分です」
ともう一度繰り返した。

2-1B「最近、ものが二重に見えたことがありますか?」
ルーク「そうだな・・・あるにはあったが、ほんの一瞬だけさ」

ルークは頭を掻いた。あんなめまいぐらい、どうってことないさ。診断パネルが隔壁に収納され、入れ替わりに2-1Bの横の壁からベッドが宙に浮きながら伸びてきた。

2-1B「中佐。あなたは病気です」
ルーク「ばかな。疲れてるだけさ」
2-1B「いいえ。わたしの診断では、大量の石灰沈着が急激に起きています。これはきわめて珍しい症状で、電磁場もしくは他のエネルギー・フィールドに長時間さらされた場合に生じる状態なのです」

エネルギー・フィールドか。そういえば、パルパティーン皇帝の指先からほとばしる青白いスパークにやられ、第二デス・スターのデッキでのたうちまわったのは、つい昨日のことだった。あまりに生々しい記憶に、ルークの額には冷たい汗がにじんだ。あのまま死ぬかと思った。いや、死ぬところだったんだ。

2-1B「血液中のミネラルが急激に減少し、そのため全身の筋肉が微弱なけいれんを起こしています」

なるほど。ほんの一時間前までは、ゆっくり座ってそれに気づくゆとりもなかったが、だからどこもかしこも痛いのか。ルークは肩を落として、2-1Bを見上げた。最悪の場合を想像すると、思わず体が震えた。

ルーク「だけど、このダメージが永久に続くわけじゃないだろう?骨を取り替えるなんて大事にはならないんだろう?」
2-1B「横になって治療を受ければべつですが、さもないとそうなりますよ。治療がいやなら、バクタ・タンクに入ってもらうしかありませんね」

2-1Bは機械特有の感情のこもらない声で答えた。ルークはちらっとタンクを見た。あんな体験は二度とごめんだ。このまえは一週間たっても口のなかからバクタの味が消えなかった。ルークはしぶしぶブーツをぬぎ、フロート・ベッドに横になった。

しばらくして、彼は体をよじり、そのせいで目が覚めた。2-1Bの四角ばった金属の顔がベッドの横に現れた。

2-1B「痛み止めを差しあげましょうか、中佐?」

ものの本には、人間は片方の耳に三つずつ骨があると書いてあるが、まさしくそのとおりだ。いまのルークはその骨を数えることができた。彼は文句をいった。

ルーク「良くなるどころか、まけいひどくなったぞ。治療してくれたんじゃなかったのかい?」
2-1B「治療は終わりました。あとはゆっくり休めば治ります。痛み止めを差しあげましょうか?」
ルーク「いらないよ」

ドロイドは辛抱強く繰り返したが、ルークはそっけなく答えた。ジェダイ・ナイトたるもの、痛みぐらいコントロールできなくてどうする。ちょうどいい。そのトレーニングでもするか。この仕事に痛みはつきものだ。R2が静かにさえずった。ルークは適当に推測し、こう答えた。

ルーク「いいとも、R2。そこで見張りを頼む。俺はもう一眠りするよ」

ルークは寝返りをうち、柔らかいベッドにゆっくり新しいくぼみを作った。これほど痛くても泣きわめけないとは。なまじヒーロー扱いされてると、こんなときは辛いもんだ。だが右手を失ったときの痛みを思えばこれくらいがまんできるさ。
考えてみれば、バイオニック・ハンドは痛まない。不幸中の幸い、ってやつだな。いい機会だ。古代のジェダイたちが使ったセルフ・ヒーリングを復活させるとするか。ただヨーダはざっとしか教えてくれなかったから、細かい点は想像で補うしかない。

2-1B「わたしはこれで失礼します。できるだけ眠るように。用事があれば、呼んでください」

2-1Bはそう言うと背中を向けた。ルークは頭だけ持ちあげて尋ねた。

ルーク「ウェッジはどうしてる?」
2-1B「順調に回復していますとも。今日じゅうにはタンクから出られるでしょう」

目を閉じてヨーダのレッスンを思いだそうとしていると、あわただしいブーツの足音が開いたハッチウェイから聞こえてきた。すでにフォースに気持ちを集中していたルークは、誰かが急いでホールをこちらに向かってくるのを感じた。注意深く耳を傾けたが、足音の主はわからない。ヨーダは時を重ね、自分の内なる深い静寂を知れば、細かい識別が−たとえ見知らぬ相手でも−できると言ったが。
ルークは再び寝返りをうって眠ろうとした。2-1Bにそうしろと言われているのだ。だが持ち前の好奇心がうずいた。あの兵士は何をあんなにあわてていたのか?それがわからないうちは気になって眠れそうもない。彼はゆっくり起きあがると、静かに脚をおろして立ちあがった。片足に感じる猛烈な痛みは、たとえば足がないと思えば薄れる。フォースは理屈じゃない。使えるときに使うもんだ。ヨーダだって、すべての知識を持っていたわけじゃないんだ。R2が警告するように鳴いたかと思うと2-1Bが両手を振りまわしながらやってきた。

2-1B「中佐。起きてはいけません。横になってください」
ルーク「すぐにすむよ。止まれ!」

ルークは長い廊下をのぞいて叫んだ。反乱軍兵士は急停止した。

ルーク「あのドローン・シップが運んできたメッセージのデコードは終わったのか?」
兵士「いましている最中です」

すると行く先は戦略室だ。ルークはR2のそばにもどり、ドロイドの青いドーム型の頭に片手をかけた。医療ドロイドがしつこく勧めた。

2-1B「中佐、横になってください。いま動くと慢性疾患に移行しますよ」

このまま一生痛みにとりつかれる−それがいやなら、あのねばつくタンクにもう一度入るしかないのかもしれない−そんな自分を想像し、ルークはピチャピチャ音をたてるフロート・ベッドの端に腰をおろしてもぞもぞと体を動かした。
そのとき名案が浮かんだ。

ルーク「なあ、2-1B、きっとここには−」

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小説 上 P.20-23
百人も収容できる旗艦の戦略室は、ほとんどからっぽだった。サービス・ドロイドが一体、ライト・チューブと白く光る隔壁のあいだを通りながら、内側の円形ベンチに沿ってすべるように動いている。戦略室の中央を占領している同じく円形のプロジェクション・テーブルの近く、計器を前にした技術士官のそばでは、反乱同盟軍を組織し、率いているモン・モスマが立っていた。クリックス・メイディーン将軍が一緒だ。彼女がモン・モスマであることは床まで届く白く輝くローブで明らかだったが、フォースを通したひときわ明るい輝きでもわかる。<エンドアの戦い>で大きな自信をつけたメイディーン将軍の光も、明るさを増していた。二人はルークを見て顔をしかめた。ルークはうわのそらの笑顔で応じると、医療室で調達してきたリパルサー・チェアのハンド・レストをつかみ、ステップをおりて、二人のいる場所に向かった。メイディーン将軍の表情がくもった。
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小説 上 P.23-25

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クリックス・メイディーン将軍(General Crix Madine)「仕方のない人だ。シック・ベイで休んでいなければならんのに。今度は2-1Bに殴り倒してもらいますぞ」
ルーク「さっきのメッセージはどうした?あの博物館のお蔵入りみたいなドローンには、どこかの司令官が少なくとも二五万クレジットは払ったろうに」

ルークは頬をひくつかせた。モン・モスマは、穏やかな目でルークをたしなめながらうなずいた。壁際の小型ライト・プロジェクション・テーブルのあるコンソールが明るくなり、その上にかなり縮小されたアクバー提督のホログラムが現れた。赤みがかった卵型の細長い顔の両横の大きな目は、いまにも飛びださんばかりだ。このカラマリは、ルークの左手にある大きなビューポートの下で<エンドアの戦い>を指揮していたのだが、見たところ自分のクルーザーにいるほうがずっと居心地がよさそうだ。向こうのライフ・サポートは、カラマリに合わせて細かく調整されているのだろう。彼は喉をぜいぜいいわせた。細い蔓のような髭が顎の下で震えた。

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アクバー提督(Admiral Ackbar)「「スカイウォーカー中佐、自分の冒しているリスクをもっと・・・真剣に考える必要がありますぞ」」
ルーク「そうするよ、提督。それができるときにはね」

ルークはフローティング・リパルサー・チェアの背を傾けて、メイン・ライト・テーブルの鋼灰色の縁にもたせ、安定させた。とたんに後ろのハッチウェイからけたたましい電子音が聞こえてきた。R2が自分のフォト・リセプターのレンジから出たルークに怒っているのだ。円筒型のドロイドはぐるりと迂回して、機器類のライトをチカチカさせながら一段高い位置にずらりと並んだコンピューターの前を通過し、データのドロップ・プラットフォームのところでルークに追いつくと、続けざまに小言を並べたてた。おそらく2-1Bに言われてきたのだろう。メイディーン将軍は髭の下でにやついた。
R2のかん高い電子音は、ルークにはさっぱりわからなかったが、さっきと同じく推測した。

ルーク「わかったよ、R2。もうホイールを引っこめてもいいぞ。俺はここにいる。これから面白いことがわかりそうな気がするんだ」
タイ・マシューズ中尉(Lieutenant Ty Matthews)「お待ちかねの情報が届きました」

マシューズという若い中尉が壁際のコンソールから体を起こし、彼らに顔を向けた。メイディーンとモン・モスマがスクリーンにかがみこむ。ルークは後ろから首を伸ばした。

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小説 上 P.25-26
ワイレック・ネリアス総督(Governor Wilek Nereus)バクラ星系の帝国軍ネリアス総督より、帝国の支配者パルパティーンに、とり急ぎご挨拶申し上げる。
バクラは、もっか侵略を企む異星人の艦隊の攻撃にさらされ苦戦中。敵の兵力は、五隻のクルーザーおよび数十隻のサポート・シップと千機を超えるスモール・シップと推定され、し かも恐るべきテクノロジーを備えている模様。バクラの防衛部隊は、その二分の一が壊滅、前哨基地は全滅した。ホロネットでインペリアル・センターおよび第二デス・スターに連絡をとったが応答なし。緊急事態。重ねて繰り返す。緊急事態、ただちにストームトルーパーを送られたし。


彼らはまだ知らないのだ。皇帝の支配が終わったことが銀河に知れ渡るには、何か月も、いや何年もかかるだろう。ルーク自身ですら、いまだに信じられないでいるのだから。

メイディーン「もっとデータが欲しい。詳しいデータが必要だ」

メイディーンはマシューズ中尉の後ろに手を伸ばしてタッチパネルを押し、大声で言った。コムリンクを通したくぐもった声で、インテリジェンス・ドロイドが応じた。
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小説 上 P.26-29

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インテリジェンス・ドロイド「「ご覧になりたければ、補強映像と帝国軍アクセス・コードを使った副次データ・ファイルがあります」」
メイディーン「映像のほうがいいだろう。それを見せてくれ」

メイディーンは中尉の肩を叩いた。セントラル・ライト・テーブルの上に、低い唸りとともにプロジェクション・ユニットがせり上がり、苦痛が麻痺するほどのアドレナリンの分泌を促すような光景が映しだされた。

ルーク“ヨーダがここにいたら拳を叩かれそうだ”
ヨーダ(Yoda)“興奮だとか冒険だとか、ジェダイたるもの、そんな浮わついたものを追いかけちゃいかん”

それがヨーダの口癖だった。ルークはジェダイの落ち着きを取り戻した。恐怖に満ちた世界が助けを求めている。テーブルの中央には、見たことはあるが実際には戦ったことのない、インペリアル・システム・パトロール艇が映っていた。赤みがかったオレンジ色の光を受け、立体的に浮かびあがっている。レーザーの砲座を確かめようと身を乗りだしたが、じっくり見るまもなく、パトロール艇は爆発し、黄色いエスケープ・ポッドが八方に飛び散った。と、そこに、巨大なオレンジ色のイメージがいきなり飛びこんできて、ビュー・フィールドを占領した。パトロール艇よりもずっと大きく、流線形のモン・カル・クルーザーより短くて太い。そのおおまかな卵型のいたるところに、ブリスター状の突起が突きでている。



メイディーン「どこの艦か調べるんだ」
インテリジェンス・ドロイド「「このデザインは同盟軍でも帝国でも使われておりません」」

ルークは思わず息をとめた。テーブルの上の巨大な攻撃艇はさらに大きさを増し、いまや五〇をくだらない砲座が見える・・・それとも、あれはビーム・アンテナだろうか?異星人の艦は、深紅のTIEファイターが六機、接近するのを待ち構えている。と、TIEファイターが六機ともがくんと揺れ、急速に減速して、エスケープ・ポッドともども、ぐんぐん異星人の艦に吸いよせられていく。トラクター・ビームに捕らえられたのだ。これを撮っていた艦があわてて退却したとみえて、シーンは急に小さくなった。メイディーンは、不安そうな声でつぶやいた。

メイディーン「囚人にしたのか」

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モン・モスマ(Mon Mothma)「入手した最新のコードを使って、副次データ・ファイルを呼びだしてちょうだい。このバクラという惑星の位置を早急につきとめるのです」

モン・モスマは、すぐそばに静かに立っている肩の高さのドロイドに顔を向けた。同盟軍の物知りの指導者もバクラの位置を知らないとわかって、ルークは少しばかりほっとした。ドロイドはライト・テーブルに近づき、カチッと音をさせてソケットに差しこんだ腕の角度を変えた。戦闘シーンが消え、かわって星のきらめく宇宙がテーブルの上の空間に浮かんだ。どうやら謎の惑星はリム・リージョンのこちら側にあるらしい。ドロイドの説明と同時に星の一つが赤くなった。

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アーカイブ・ドロイド「バクラはここです。このファイルによれば、バクラの経済は、リパルサーリフトのコンポーネントおよびエキゾチックなフルーツ・キャンデイと果実酒の輸出が支えています。クローン大戦の終わり頃、ある採鉱会社が投機の目的で移住し、開発した星系で、約三年まえに帝国領となり、それ以来、リパルサーリフトの製造施設は帝国に吸収、コントロールされています」

モン・スマはほっそりした手をライト・テーブルのはじに置いた。

モスマ「それくらいなら独立当時の記憶はまだはっきり残っているわね。エンドアはどこかしら?位置関係を知りたいの」

即座にもう一つの点が青く光った。ルークの肩のところでR2が口笛のような音を発した。エンドアもコア・ワールドから遠く離れているが、バクラはいちだんと彼方にある。ルークはつぶやいた。

ルーク「文字どおり、リム・ワールドのはじか。ハイパースペース・トラベルでもここから何日もかかる。いまの帝国には、こんなところまで援軍を送るゆとりはないな」

誰かが帝国に助けを求めてくること自体が妙な気がした。どうやらエンドアにおける反乱軍の勝利は、バクラ人に不幸な結果をもたらすことになりそうだ。いちばん近いここエンドア周辺の帝国軍戦闘グループは、同盟軍部隊にけちらされ、とても援軍に駆けつけられる状態ではない。
出し抜けに左手のスピーカーから、レイアのはっきりした声が聞こえた。

レイア・オーガナ・ソロ(Leia Organa Solo)「「その星系に駐留している帝国軍部隊は、どの程度の規模なの?」」

レイアはエンドアのイウォークの村にいる。彼女が聞いていたとは知らなかったが、いかにもレイアらしかった。ルークはフォースを送って、妹の温かい存在に軽くふれた。当然ながらレイアは緊張している。ブラスターで焼かれた肩の火傷を癒すため、ハン・ソロと休養しながら、命を落とした同胞を葬る、毛むくじゃらの小柄なイウォークたちの手伝いをしているはず。ルークは口をへの字に曲げた。彼は最初からレイアを愛し、できれば・・・いや、それはもう過去のことだ。インテリジェンス・ドロイドはサブスペース無線のコムリンク・リレイを使って、レイアの問いに答えた。

インテリジェンス・ドロイド「「バクラの防衛にあたっているのは帝国軍駐留基地で、このメッセージの送り主は、パルパティーンに対し、バクラが辺境にあるため、部隊が古くなっている点についても指摘してます」」

レイアは吐き捨てるように言った。

レイア「「どうやら帝国は、バクラが反乱を起こす可能性はないと見ていたようね。もこんな状態では、帝国軍艦隊の援助は期待できないわ。艦隊を再びまとめるだけでも何週間もかかるはずよ。そのあいだにバクラは、未知の異星人の手に落ちてしまう−あるいは、わたしたち同盟軍の味方につけることもできるわ。帝国軍が援軍を送れないなら、わたしたちが送らなくては」」

レイアは少し明るい声になった。ホログラムのアクバー提督は、ひれのような両手を腰にあてた。

アクバー「「どういうことですか、ユアハイネス」」

レイアはイウォークの村で樹上の小屋にいた。編んだ枝に泥を塗った壁にもたれ、天を、いや、高い藁ぶき屋根を仰いだ。その横では、ハンがのんびりと寝そべり、片肘をついて指にはさんだ小枝をまわしている。
彼女は手にしたコムリンクを口もとに持っていった。彼女はアクバー提督に説明した。
エンドア
Endor
小説 上 P.29-32

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レイア「いまバクラに援軍を送れば。バクラは感謝して、帝国に反旗を翻す、そしてわたしたちはそれを手伝う、こういう筋書きよ」

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ハン・ソロ将軍(General Han Solo)「ついでにリパルサーリフトのテクノロジーも手に入れる、か」

ハンが小枝に向かってつぶやいた。レイアはこれには答えず、すぐに続けた。

レイア「小規模の機動部隊と腕利きの外交官を送る価値はあるわ」
ハン「帝国領になんか入ってみろ。とたんにひっつかまって、誰かさんのクレジット口座を太らせることになる。きみの首にはすごい価格がかかってるんだぞ」

ハンはあお向けに寝そべり、両手を頭の下で組んでつぶやいた。彼女は顔をしかめた。アクバーが喉を鳴らして抗議した。

アクバー「「しかし、いまのわれわれに援軍を送るゆとりがありますかな?わが軍は皇帝の艦隊のほんの一部と戦っただけで、二〇パーセントの戦力を失ったのですぞ。どこの帝国軍戦闘グループだろうと、いまのわれわれよりましな援助ができるでしょう」」
レイア「でも、それではバクラは永久に帝国領のままよ。エンドアと同じように、わたしたちにはバクラが必要だわ。一つでも多くの惑星に同盟軍に加わってもらわなくてはならないんですもの」

驚いたことに、突然ハンがコムリンクをつかみ、ぐいと自分に引きよせ、アクバーに呼びかけた。

ハン「提督、援軍は送るしかないだろう。手に負えないほどの異星人の部隊を、この銀河に放置しておくわけにはいかん。レイアの言うとおり・・・ここは俺たちの出番だな。急いでここを抜けだせる艦を用意したほうがいい。帝国軍がこれをかぎつけて、つまらん考えを起こさんうちにな」
レイア「あら、あなたの首にかかった価格はどうするつもり?レーザーブレインさん」

レイアはささやいた。ハンはコムリンクを覆った。

ハン「きみを一人で行かせると思ったら大間違いだぞ、ハイネス・ハイネス」

ルークはモン・モスマの表情を見守り、フォースで彼女の心の動きを探った。モン・モスマは静かに言った。

モスマ「大規模な援軍は無理でしょうが。それにしても一隻だけでは足りないわね。アクバー提督、ソロ将軍とプリンセス・レイアを援助する部隊を組織してちょうだい」
ルーク「ちょっと待ってくれ。異星人はバクラで何をしてるんだろう?何だってあんなにたくさんの囚人を捕まえてるんだ?」

ルークは片手を広げた。メイディーンがつぶやいた。

メイディーン「あのメッセージだけで、そこまではわからんな」
ルーク「それじゃ、そいつを探りだせる人間も送ったほうがいい。重要なことかもしれませんからね?」
メイディーン「あなたはだめですぞ、中佐。それに、この任務はあなたが回復するまで待てそうにもない。チームは一標準日以内に出発すべきでしょう」

メイディーンは白いハンドレールを叩いた。ルークは顔をしかめた・・・ハンとレイアにまかせておけば心配はないだろうが、あとに残されるなんてまっぴらだ。だがこんな状態では満足な働きはできない。そう思ったとき、突然メイディーン将軍が二人に見えた。できるだけ早く横になれ。さもないと戦略室で気絶して、醜態をさらすことになるぞ。視神経がそう警告していた。二列に並んだ白いベンチのハンドレールも二重に見える。リパルサー・チェアはあれを越えられるだろうか?彼はチェアの外側を思いきり押したい衝動をこらえた。R2がまるで母鳥のようにさえずった。ルークはリパルサー・チェアのコントロールをつかんだ。

ルーク「ぼくはキャビンに戻りますよ。新しいことがわかったら教えてください」

メイディーン将軍はカーキ色の軍服の胸で腕を組んだ。モン・モスマは衣ずれの音をさせて背筋を伸ばした。

モスマ「あなたをバクラに送ることは、まずないと思いますよ。同盟軍には大切な人ですからね」
アクバー「「そうですとも、中佐」」
ルーク「横になってるだけじゃ、誰の役にも立たないさ」

だが、反乱軍艦隊にこの先も尊敬してもらいたければ、そろそろ不死身のパイロットというレッテルは返上する潮時かもしれない。ヨーダは教えを彼に託してこの世を去った。機会があれば“ジェダイ・オーダー”を回復する、ルークはそれが自分に与えられた使命だと解釈していた。ファイターの操縦なら誰でもできる。だがフォースを持つ者を探しあて、新しいジェダイに育てるのは彼しかできない。彼は顔をしかめてプラットフォームを上昇にセットすると、チェアをまわして上がりながらモン・モスマとアクバーに言った。

ルーク「せめて、その攻撃部隊をまとめる手伝いぐらいは、させてほしいな」

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小説 上 P.32-34
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注!!ダイジェスト版です。詳細は参考書籍にて。(^_^)
Last Update 12/Nov/1999