帝国の後継者 #0 |
年 代 | 出 来 事 | 場 面 | 参 考 |
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4y ASW4 |
ギラッド・ペレオン艦長(Captain Gilad Pellaeon)はインペリアル・スター・デストロイヤー<キメラ(Chimaera)>のブリッジに立ち、ビューポートから外の星を眺めていた。かつてこれらの星はすべて帝国に属しており、その周りの惑星に住むすべての生物は皇帝陛下に対する忠誠を誓っていた。しかし現在では帝国、というよりむしろその残党はかろうじて根河系の3分の1の星系を従えているに過ぎない、皇帝は亡き人となり、帝国も滅びたのだ。この4年間、ペレオンは一人でその残党をまとめていたように感じていた。しかし、今ではその任務も他の者に譲っている。 彼の周りでは、司令デッキの前やクルー・ピットの下で若い乗員たちが、<キメラ>をボーダーランド・リジョン(Borderland Regions)の所定座標に着かせるために働いていた。彼らは威厳ある帝国軍人として振る舞おうとしており、ペレオンもそれだけは認めざるを得なかった。しかし、それだけでは新共和国の拡大を止めることが出来ないのも事実だった。多くの訓練を積んだ士官や乗員たちは4年前に皇帝、<エグゼクター(Executor)>、そして第二デス・スターと共に死んでいった。その後も多くの者が死に、多くのものが滅びた。まさに現在の帝国そのものと同じように。 |
Heir to the Empire Sourcebook P.53 翻訳 by じょじょ 殿 脚色 by yokozawa |
ペレオン「そんなはずはない」 ペレオンは疲労や憂鬱を身体の外に追いやって叫んだ。帝国は滅びたわけではない。傷ついただけであり、それを否定することは出来ない。戦争で傷ついた艦のように、引き裂かれた艦体とその維持装置は弱まってはいるが、帝国軍はまだその中に十分な力を残しているのだ。まだ最後の飛躍によって敵を倒す力は残っており、おそらくはそれ以上のものがあるだろう。戦況は必ず逆転することになる。 ペレオンは<エンドアの戦い(Battle of Endor)>のことを思い出した。彼の直属の指揮官は<キメラ>がモン・カラマリ・スター・クルーザー(Mon Calamari Star Cruiser)の攻撃を受けたときに戦死し、彼が艦の指揮を執ることになった。艦隊が差し迫った崩壊の危機に陥ったとき、撤退を指示したのもペレオンだった。 この4年間、彼は艦隊を共に維持し、帝国軍を守るために奮闘していた。しかし、彼にも見失っているものがあった。毎日のように帝国の領域から星系が1つずつ減っていき、新共和国に勝利がもたらされていく。他の艦隊司令官たちを団結させ、モフ(Moff)たちが自分らの宙域を新政府と宣言することを防ぐのは困難を極めていた。つまり彼らは二つの戦争を戦っていたのである。一つはかつての反乱同盟軍との戦いであり、もうーつは帝国の主導権を巡る野心と欲望のための戦いだった。 |
ペレオンは疲れ果てていた。彼は年老い、これ以上戦う年齢ではなかったのだ。彼はダース・ヴェイダー卿(Lord Darth Vader)や、大モフ・ターキン(Grand Moff Tarkin)、ピエット提督(Admiral Piett)といった有力な軍人たちに仕え、皇帝の命令を受けていた。しかし、今では彼は自分が信じ、仕えてきたあらゆるものの結末を見ていた。だが数日前、ついにあのメッセージが届いたのである。 それはアンノウン・リジョン(Unknown Regions)から、あらゆる通信センサーを避けて、帝国初期にすべてのスター・デストロイヤーに取り付けられた皇帝専用ホロポッド(holopod)に送信されてきた。これらのホロポッドを通じて、皇帝とその最も信頼する従者たちは、広大な距離を隔てても会話ができたのである。 送信コードは正しく、その着信の知らせを聞いたとき、ペレオンの背中に震えが走った。皇帝の死後、このホロポッドを使ったものは誰もいなかったのだ。これは過去の亡霊かと思い、しばらくの間ペレオンは司令ボードをじっと見つめていた。 「メッセージ受信」 ボードの優先画面にチカチカと点滅する文字が告げていた。ペレオンはついに司令ボードを離れ、ホロポッドにメッセージを受け取りに行った。 ペレオンは皇帝の厳しい表情が頭上のホログラムに現れるのを期待し、ホロポッドの前に膝まづいた。しかし、彼が見たのは力強い顔立ちに燃えるような赤い目をした、青い肌のヒューマノイドだった。彼の身体を貫くようにも感じさせるその眼光は、この男の燃えるような激しさを物語っていた。しかし、その声はペレオンに彼が帝国軍の高級将校であることを確信させるものだった。彼の声は大きくはないが、力強く、命令口調を帯びていた。 スローン「「私はスローン大提督(Grand Admiral Thrawn)」」 |
スローン「「私は辺境の地にいたが、たった今帰還した。何が起こったのか大体は分かっている、残りの細かい部分はそちらの艦に行ってから話してもらおう。喜びたまえ艦長、帝国は再び立ち上がるのだ。この送信の中に私の居場所を暗号化したものが含まれている。君の到着を待っている」」 そして今、ペレオンは境界領域でスローン大提督の到着を待っていた。彼への恐怖や心配も既になく、いまあるのは過去の栄光に対する興奮と、これから来るであろう新たな栄光への期待だけだった。彼はスローン大提督を向かえるためにシャトルを飛ばし、その偉大な司令官を<キメラ>のハンガー・ベイに収容したのである。 |
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