新たなる希望 #13 |
年 代 | 出 来 事 | 場 面 | 参 考 |
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ビッグズ:彼らの言ってることは、一つだけは合ってるぞ、ルーク。帝国と反乱軍の戦いが行われてるのは、はるか彼方だ。帝国はこの星域なんか眼中にないのさ。 ルーク:だけど、ビッグズ、誓って− ビッグズ:(遮りながら)なあ、ルーク、おまえのランドスピーダーでひとっ飛びしようじゃないか。最後にベガーズ・キャニオンを一目見たいんだ。あそこにはなつかしい思い出がたくさんある。 ルーク:いいとも、ビッグズ。 サウンド:スピーダーに向かい、乗り込む。 ルーク:(遠ざかりながら)ねえ、この前キャニオンを飛ばした時に、おまえがここにいたらなあ。フィクサーはビッグズができたことなら何でもできると自慢しはじめたんだ。(笑って)だから俺は− サウンド:しだいに消え、ランドスピーダーのエンジン音に変わる。 ルーク: だけどフィクサーは何も起こらなかったふりをしてるんだ。ただ俺のスカイホッパーがだいぶイカレちまったけど。 ビッグズ:おじさん怒ったろうな。 ルーク:ああ、ビッグズ、怒ったなんてもんじゃなかったよ。おかげで今シーズンは二度と乗っちゃいけないって言われた。 ビッグズ:ルーク、もっとのんびりすべきだぞ。たとえモス・アイズリーのこっち側じゃ一番の腕だとしても、そんな調子で続けていたら、そのうち激突して、キャニオンの壁の黒いシミになってしまうぞ。 |
タトゥイーン Tatooine |
ラジオ・ドラマ版 スター・ウォーズ P.14-15 |
サウンド:スピーダーのエンジン音が小さくなり、ルークが止める。 ルーク:さあ着いた・・・なつかしいストーン・ニードルだ。 サウンド:風、恐ろしいうなり。そしてカチっという音と呼び声。 ルーク:この淵からだと、はとんど全峡谷を見渡せる。 ビッグズ:ああ、こんなものすごい地形は他にはないな。あれほど何度もばかげた曲飛りを無事にやりおおせたのが信じられないくらいだ。 ルーク:今ホッパーがあれば、ウォンプ・ラットを驚かしてやれるのになあ。 ビッグズ:悪いな、俺は今“貴重な財産”なんだ。“士官候補生の訓練にかかった経費に留意し、全卒業生は不必要な危険を負うことを慎むべし。” ルーク:おまえが、どんなにたくさんの水平尾翼を曲げちまったか彼らは知ってるのかい?それと、ストーン・ニードルであやうく命を落としそうになった時のこととか? ビッグズ:そいつはパイロット指導教官には言わないはうがいいと思ったのさ。だけど、この未亡人づくりの渓谷がなつかしくなるだろうなと思うな。 ルーク:おまえが出ていってから、ここはちっとも楽しくなくなったさ。すごく・・・静かになった。おまえはいつもここでは一番だった、ビッグズ。おまえがいた時は活気があったよ。 ビッグズ:銀河は広い、ルーク。アカデミーでは入ってくるみんなが故郷じゃ一番だったのばかりだ。俺は急にその他大勢になってしまったよ。 ルーク:しかしおまえは入学できたじゃないか、ビッグズ。俺たちが話題にした場所を全部その目で見ることができる。 ビッグズ:うん。(間をおいて)ルーク、おまえは今まで俺たちがどうして友だちなのか考えたことがあるかい? ルーク:ええ? ビッグズ:残りの連中−彼らは決してタトゥイーンから離れようとしない。たぶんモス・アイズリーより遠くへは行かない。そう考えたことがあるかい? ルーク:そんなふうに考えたことはなかったな。 ビッグズ:フィクサーは利口だから、小部屋で威張ってるのが自分の性に合っていることがわかってるんだ。ケイミーはその彼をつかまえて、このあたりじゃ一番の大物をつかんだ気でいる。ウィンディはただ人の言うなりになるだけだし、ディークはそのまた言いなりだ。 ルーク:だけど、悪い連中じゃないよ。俺は好きさ。 ビッグズ:それじゃあどうしてそんなに必死に一番のパイロットになりたいんだ?(間があって)おい、今のを見たかい?キャニオンの向こう側だ! ルーク:どこだい−きっとサンドピープルだよ! ビッグズ:さっきのマクロバイノキュラーを持ってるかい? ルーク:ここだよ。 |
タトゥイーン Tatooine |
ラジオ・ドラマ版 スター・ウォーズ P.15-16 |
サウンド:マクロの焦点と範囲を合わせる。 ビッグズ:ああ、三頭のバンサだ、それに五人のタスケン・レイダーだ。ジャンドランド荒野へ向かってる。 ルーク:おじきがここら辺で何度かやつらを見かけてるって言ってた。戻ったほうがよさそうだ。嫌な予感がするよ。 ビッグズ:いや、心配することはないと思うが・・・そろそろ腰をあげたほうがいいかもしれないな。 サウンド:スピーダーがスタートし、反転して加速する、エンジン音が低くなり続く。 |
ルーク:おまえが戻ってきて、ちょっと興奮するな。 ビッグズ:おまえはどこも行ったことがないから、この惑星が退屈だと思っているのさ。(間があって)ルーク、俺はお別れを言うためだけに戻ってきたんじゃないんだ。聞いてくれ、もし−もし何か起きたら、おまえに知っていてほしいのさ。 ルーク:何をだい?正直言って、ビッグズ、そういう秘密めかした言い方はやめてくれよ。 ビッグズ:俺はアカデミーに何人か友人ができた。銀河内縁の星系と呼ばれる最初の港に入ったら、みんなで逃げだして反乱軍に合流するつもりなんだ。 ルーク:気でも違ったのか!いつまでたっても反乱軍と巡り合えなかったらどうするんだい?帝国でさえ彼らを見つけられないんだぞ。 ビッグズ:ああ、確かにあてずっぽさ!反乱軍を発見できなけりゃ、その時は俺たちだけで、できることをするさ。ぐずぐずしてて帝国軍基地に配置されるのはごめんだ。反乱軍の勢力は広がっている。俺は信じるほうに付きたいんだ。 ルーク:それなのに俺はここから出られない。 ビッグズ:次の学期にはアカデミーに行くんじゃなかったのかい? ルーク:申し込みはキャンセルしなければならなかったんだ。このところサンドピープルが荒らしまわってるから。 ビッグズ:よせよ、あのおじさんならブラスターが一丁あればタスケン・レイダーを追っ払えるさ。そろそろ目先のことより、本当に重要なものを見きわめなくちゃ、ルーク。 ルーク:けど、ようやく農場から利益があがりはじめたんだ。オーウェンおじさんはもう一シーズン俺を必要としてる、ビッグズ、今、オーウェンおじとおばを見捨てられないよ。 ビッグズ:ルーク、聞いてくれ。おじさんは“俺がおまえを養って育て上げた”ってセリフで、いつまでもおまえをここに縛りつけておく気だぞ。わからないのか? ルーク:おじとおばは俺の家族なんだ、ビッグズ 俺にはあの二人しかいない!おまえや他の連中がどう思おうとかまうもんか。あの二人を守ってやらなくちゃ。 ビッグズ:ルーク、俺はべつに− ルーク:(遮って)ああ、行けよ。きみは反乱軍を見つけろ。俺が出て行きたくないと思っているのか?あとに残されたがってるとでも思っているのか? ビッグズ:そうは思っていないよ、ルーク。 ルーク:だけど、俺にはそう聞こえたな。パワー・ステーションのとこで降ろすよ。 |
タトゥイーン Tatooine |
ラジオ・ドラマ版 スター・ウォーズ P.16 |
サウンド:ランドスピーダーの騒音が止み、停止する。 サウンド:ビッグズがスピーダーから降りる。 ビッグズ:(わずかに離れて)ルーク、アカデミーで友人ができた。彼は俺を助けてくれた。昔、俺がおまえを助けたようにだ。卒業前に彼は反乱軍狩りの疑いで逮捕されたと聞いた。尋問で死んだそうだ。 ルーク:おまえは変わったよ、ビッグズ。すごく変わった。 ビッグズ:いろいろ考えることがあって・・・(間をおいて、それからつとめで快活に)でも、おまえはちっとも変わらないなあ。昔よく話してくれた理想の女性を、今でも探してるのかい? ルーク:彼女が目の前を通り過ぎたらすぐにわかるよ、ビッグズ。さっきはごめん、あんなことを言って悪かった。 ビッグズ:俺もだ。忘れてくれ。 ルーク:しばらくいるのかい? ビッグズ:いや、朝のシャトルで発つ。 |
タトゥイーン Tatooine |
ラジオ・ドラマ版 スター・ウォーズ P.16-17 |
サウンド:バックでタトゥイーンの風の音がわずかに大きくなる。 ルーク:風が強くなったみたいだ。 ビッグズ:帝国中に風が吹きはじめてるんだ、ルーク。遅かれ早かれタトゥイーンにもその風が届く。 ルーク:ビッグズ、しばらくは会えないんだね。 ビッグズ:そのうち会えるかもな。気をつけて見てるよ。 ルーク:次のシーズンにはきっとアカデミーに入る。気をつけて。 ビッグズ:またな、ルーク。 ルーク:ビッグズ? ビッグズ:(遠くから)え? ルーク:さっきのあの二隻は本当に貨物船だと思うかい? ビッグズ:おまえが撃ち合ってたと言うなら、違うだろうな。 ナレーター:思いがけぬ運命に翻弄され、ほどなくルーク・スカイウォーカーの人生は本人すら信じがたいほど急変し、反乱軍と帝国の苦い戦いに巻きこまれる。そして捕虜になったプリンセスの必死の願いや伝説の英雄の最後の冒険、そして帝国の最も恐ろしい兵器を倒す鍵が、タトゥイーン出身のファームボーイの活躍にかかっているのだ。 |
タトゥイーン Tatooine |
ラジオ・ドラマ版 スター・ウォーズ P.17 |
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