The Tale of Boba Fett |
年 代 | 出 来 事 | 場 面 | 参 考 |
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後に賞金稼ぎボバ・フェットとして知られる“護民官”ジャスター・メリール(Jaster Mereel)が、惑星コンコード・ドーン(Concord Dawn)を追放される前の最後の陳述。 誰もが死ぬのだ。 それは最後にして唯一永遠なる公平な処遇なのだ。悪の存在、それは無秩序を押さえる智慧である。山の斜面が崩れて村を押しつぶす時、それは悪でもなく、悪の招来したものでもない。 知力ある者がその地滑りを引き起こしたならば、それは悪であり、結果として公平な処遇が招来される。それ故に文明は保たれるのだ。 公平な処遇を凌駕するものはなく、公平な処遇に仕える法があるとすればそれだけが良き法なのである。正確に言えば、法とは、公平のためでなく不公平のために存在し、公平とはどこかにあるものではなく各人の心に伝わるものなのである。 私は何ものにも屈することなく、主義主張のためだけに生きるのだ。 |
コンコード・ドーン Concord Dawn |
Tales of the Bounty Hunters P.277-P.278 |
アイヴィング・クリール(Iving Creel)「ジャスター・メリール。」 独房の壁の上部にある、閂のかかった高くて狭い窓から降り注ぐ縞模様の朝日の中、鎖につながれたジャスター・メリールが座っていた。 歩けぬように両踵は鎖でつながれ、同じく腰に巻き付けられたもう1本の鎖が両手首へとつながっていた。彼は若かった、弁護士が独房へ入ってきても起きなかったのだ。その不作法な態度がオヤジを不愉快にさせたことに気づいた。 弁護士アイヴィング・クリールは、メリールに向かい合って長椅子に腰を下ろした。彼には礼儀正しくしている時間など無かった。 クリール「どのように抗弁をしようか?」 メリールの“保護管”の制服は剥奪されていた。彼は灰色の囚人服をあたかも自分の制服であるかのように堂々と着た醜い若者だった。 その上、今日の裁判に直面するのがこの傲慢な若き殺人者ではなく、困惑の表情を浮かべて考え込むこの弁護士アイヴィング・クリールではないのかといった、品定めをするような視線でじろじろと見ていた。 ジャスター・メリール「あんたは、アイヴィング・クリールだな。」 彼はついに口を開いた。 ジャスター・メリール「聞いたことがある。わりと有名だからな。」 クリール「君が公平に扱われなかったなどと、誰も言われたくはないのだよ。」 クリールが、堅苦しく言った。 若者の唇に不愉快な笑みが浮かんだ。 ジャスター・メリール「あんたは俺に、後悔しないでくれと頼み込むことになるだろうな。」 クリールは彼を凝視した。 クリール「君は事の重大さがわかっているのか、少年?君は人を殺したのだよ。」 ジャスター・メリール「彼に来るべきものが来ただけさ。」 クリール「彼らは君を追放するつもりなのだ、ジャスター・メリール。彼らは君を追放して...」 ジャスター・メリール「追放されたら、いつでも帝国アカデミーに入ることができる。俺ならなれるぜ、腕のいいストーム...」 クリールが遮った。 クリール「...それから、君が彼らを怒らせたりすれば、彼らは君を死刑にするかもしれない。不当に命を奪った事に対して、すみませんと言うことがそんなに難しいことなのかな?」 ジャスター・メリール「どうもすみません、彼を1年前に殺しておかなかったことが悔やまれます。彼がいない銀河ほどいいところはありません。」 クリール弁護士は少年を注視した、そしてゆっくりとうなずいた。 クリール「君は自らの申し立てをした、十分にな。私が抗弁書を作成する前であれば、それはいつでも変えることはできる、私の薦めをもし君が望む...考え直すのならばな。君は、全ての人が失脚を願っていた、君が殺す必要など無かった、もう一人の保護官を殺した罪により、監獄入りか追放処分となるだろう。だが、君の傲慢さが自分の身を滅ぼしたことに気づくだろう、ジャスター・メリール、今日のうちにな。」 ジャスター・メリール「あんまり命に執着しない方がいいよ、弁護士さん。」 醜い若者は、意味の無い動きの虚ろな唇で笑った。アイヴィング・クリール弁護士は自らの命を終える時まで、折に触れ、その笑みを思い出すことになるだろう。 ジャスター・メリール「誰もが死ぬのだ。」 |
コンコード・ドーン Concord Dawn |
Tales of the Bounty Hunters P.278-279 |
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