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反乱の夜明け #16-c
そしてモス・アイズリーへ (3)

年 代 出 来 事 場 面 参 考



 インプは知らないが、彼らがここを奪回しても、もう手遅れなのだ。レッド・ハンド中隊は、通信技術者たちが外交艇にプランを送信するあいだ、何とか帝国軍を遠ざけておくことができた。だが、危なかった。インプは送信が終わった直後にコム/センサー・タワーを粉々にしたのだ−が、ブリアは<タンティヴ4>から入った“送信完了”のメッセージを自分の目で確かめていた。
 ブリアはまた、センサーが切断される前に、インペリアル・スター・デストロイヤーがこの反乱軍のブロッケード・ランナーに近づく映像も見た。あの外交艇は逃げられただろうか?それも彼女にはわからないだろう・・・。
 彼らが何を送信していたのか、それもわからない。だが現状のままでも、彼女も部下も知りすぎている・・・だから生きて捕らえられる危険はおかせないのだ。
 “まあ、最近の帝国軍は、囚人を捕まえることもないが”
 彼女はかがみ込み、腿のまわりの包帯を調べた。隣の兵士が、さっき彼女が答えるのを拒んだのと同じ質問をしてきた。「わたしたちはもうここから出られないんですね・・・そうでしょう?」
 ブリアはぼろぼろになったヘルメットの下で青ざめている兵士を見た。大きな目が、ブリアをじっと見ている。スコットは彼女に忠実で、大義に忠実なよい兵士だった。でも彼は若すぎる。
 それでも、彼には誠実な答えを聞く権利があった。
 「ええ、そうよ、スコット」ブリアは答えた。「わかるわね。インプはわれわれの船を破壊した。退却はできない。できるだけ長くこの通信センターを占拠しろという命令がなくても、ほかに行く場所はないのよ。たとえここの兵士たちを振り切っても・・・トランスポートがないんだもの」彼女は苦笑し、怪我をした脚を示した。「この脚じゃ飛びあがってもたかが知れてるし」
 彼はつらそうに顔を歪めて頷いた。
 彼女は彼をじっと見た。「スコット・・・囚人になるわけにはいかないの。わかるわね?」
 彼はまた頷き、ブリアがしたようにララバイを襟につけた。「はい、中佐。わかります」彼の声は震えていたが、両手はしっかり武器の上に置いてあった。
 彼はほかの者に聞かれないように、彼女にかがみ込んだ。「中佐・・・わたしは・・・わたしは死にたくありません」彼は思いきって告白し、体を震わせた。
 「この包帯を巻くのを手伝ってくれる、スコット?」彼女は脚の医療パックをもっときつく巻いてくれと示した。彼がそれを傷に巻きつけているうちに、両手の震えが少しおさまった。「もっときつく!」彼女は彼に言い、彼は体重をかけてそれを引っぱった。鎮痛剤でも間に合わない鋭い痛みがブリアの体を貫いた。この怪我にもかかわらず動けるのは、鎮痛剤のおかげなのだ。
 「そう、それでいいわ」
 若きバリドは彼女の隣に沈むように腰をおろした。ブリアはまるで愛する弟にするように彼に腕を回し、身を寄せた。
 「わたしも死にたくないわ、スコット。でも絶対に帝国に勝たせたくないの。善良な人々が虐殺されたり、奴隷にされたり、家族を養えなくなったり、まともな生活ができなくなるほど税金をしぼりとられたりするのはいやなの。さもなければ、目醒めの悪い帝国軍のモフに殺されたりするのもね」
 スコットは彼女の言い回しにかすかに微笑んだ。「だから、助からなくてもいいの。任務を遂行しながら死んでいくのはいいの、だって−」彼女は死んだ仲間を示した。「彼らもそうしたんだもの。彼らを失望させられないわ、そうでしょ?」
 「はい、中佐」スコットは言った。ブリアは悲しげな微笑を浮かべながら、彼をきつく抱きしめると、彼も抱き返してきた。彼の震えは止まっていた。
 ちょうどそのとき、見張りをしていたジョアーンが叫んだ。「やつらが動いてます」
 ブリアはスコットを彼の持ち場に押しやりながら横に転がり、瓦礫の山のあいだから素早く外を見て、そのまま指示を出した。「ジョアーン、最初は隠れて、ランチャーの準備をして。わたしたちが射撃を開始したあと、何とか外に出て、あのフローティング・フォートレスを狙うのよ、わかった?」
 「はい、中佐!」
 「みんな、撃ったあと位置を変えるのを忘れないで。さもないとリピーティング・ブラスターで照準を合わせられるわよ。準備はできた?」
 肯定のつぶやきが答えた。借り物のブラスター・カービンを拾い上げると、ブリアはエネルギーを点検した。銃身を見下ろしながら、彼女は思った。“さようなら、ハン・・・”
 何かが割れた壁の中で動いた。ブリアは深く息を吸いこんだ。「撃て!」

トプラワ
Toprawa
Rebel Dawn
P.379 L.17 - P.381
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Last Update 17/Jul/2000